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ライブとリサイタル

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 ところで、音楽には様々なジャンルがあり、個々のジャンルに対して様々な作曲者の曲が存在する。そして同じ作曲者が様々な曲を生む。同じ曲一つとっても、完全に同じ演奏はなく、何か異なっていて、それは演奏者が同じだったとしても時が違えば変わる、と思う。
 その多様な変化の中で、異なるジャンルに共通点を見出せる可能性はある。例えるなら、京王線、小田急電鉄、JR、東京メトロなどの「ジャンル」に「新宿駅」が存在しているとか。
 しかしそれぞれの「新宿駅」は意味が異なり、それを示すように各路線はそこからさまざまな方面に進む。これとほぼ同じように、音楽も一旦共通点を見つけたとしてもそこからさまざまな方面(相違点)が生まれていくと思う。
 こう考えると、相違点が生まれたとき、それはまた次の共通点を見出せるチャンスであるように感じる。

 しかし、基本的に音楽はジャンルによって相違点の方が多いに決まっている。そんなことは、聴けばすぐに分かる。
 どれだけ共通点を見つけても、なんか自分にはしっくりこない曲だな、という経験もある。それは音楽にとどまった話ではないのではないだろうか。他のジャンルの作品についても似たようなことを経験したことがあるのは、俺だけではないと思う。
 しかし、それを聴くことが常に無駄になるとは思えない。いつかそのジャンルまたは曲にハマって、「昔は全然興味なかったのに」と過去を振り返って、自分の精神が変化していることに気づけるかもしれない。音楽においてそのように嗜好が変化することは何も悪いことではないというのが、音楽の良いところだろう。

 今回、両方の公演から見出せた最大の共通点は、それらが両方とも音楽であるという、ごく当たり前のことだろう。それが異なるジャンルの音楽を楽しめる第一歩なのかもしれない、と思えたことが、今回の両公演で得られた最大の成果である。
作品名:ライブとリサイタル 作家名:島尾