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 アイテムに匂いを付けるなどといった、特定のアイテムの取得を早めたり遅らせたりといった事は無論行っておりません。また、行おうとも思っておりません。私は、特定の方を優先的に復讐しよう、反対にこの方に最後まで残ってもらおう、といった思惑は持ちあわせておりません。もちろん、お三方のうちどなたかと密約し、他の方へ復讐を行った後、残ったその方だけを助けるといった卑劣な行為をする気もございません。私にとって皆さんは復讐を行うべきターゲットですが、復讐の前では平等です。その順番を冥菜ちゃんが決める、ただそれだけです。

 次に、処刑装置やモニターの故障、逃走者の発生といったトラブルが起きた場合についてです。これらの場合、基本的には事態を収拾した上で再開をいたします。処刑装置やモニターの故障の際は、それに詳しい専門技術を持つ協力者がおりますので、早急に修理を行わせていただきます。

 次に、皆さんを拘束している縄が解けるなどの事態が発生して、逃走者が出た場合です。この場合も、逃走者を確保し再度拘束した上で再開いたします。この部屋は密室であり、私の協力者も多数おりますので、脱出は非常に難しいと思われます。そのため逃走者が出たとしても、確保は容易であると考えております。
 逃走に関してもう一点お話がございます。「あの世への逃走」についてです。皆さんは手足を拘束されておりますので、よほどの事がない限りその心配はないと思っております。しかし、猿ぐつわ等はしておりませんので、舌を噛むことによって自決を行う可能性がございます。私もこの点を憂慮し、最初は皆さんの口を封じる手段を講じようと考えました。しかし、食事中はどうしても拘束を解く必要がありますし、おむつ交換の呼びかけもございます。そのため、猿ぐつわ等による、口への拘束は行わない事にいたしました。
 と言う事は、皆さんは舌を噛む事によって、頭上の刃よりも先に自ら人生の幕を下ろす事も不可能ではありません。ですが、私が文献等を漁って調べた限り、そのような形での自決は非常に苦しく、難しいようです。また、気付き次第近くにいるものが適切な処置をすれば、助かる可能性が高いとも聞いております。
 私は、皆さんへ復讐を行うべく行動をしております。これは言い換えますと、私の復讐以外で皆さんの命が失われる事は望んでいないという事です。どなたかが舌を噛んだ場合ももちろん同様です。その場合、私と私の協力者はその方を全力で助けるでしょう。ちなみに、もちろん全分野に精通しているわけではありませんが、私の協力者には医師もおります。よほど上手にしかも秘密裏に行わなければ、自決は難しいと思われます。
 まとめますと、舌を噛む事は可能ですし、自由です。しかし、それでお気軽にあの世へ行けるとは思わないでいただきたいのです。

 持病や、急な心臓の発作等の急病が起きた場合も同様に、私たちはその方の延命に努めます。残念ながら、延命の努力の甲斐がなかった場合は、残りの方で復讐を続行いたします。

 急病という言葉が出ましたので、それに関してもう少しお話しておこうかと思います。先のお話では、皆さんが急病に見舞われた場合についてお話いたしました。今度は、私や私の協力者がそのような事態に陥った場合についてです。私の協力者がそのような事態に陥った場合、その方の延命処置を行いつつ、可能な限り復讐は続行いたします。続行が難しい場合は、その方の延命を優先いたします。言うなれば、復讐以外で誰かの人命が損なわれる可能性がある場合、その人命を助けるべく行動する、というのが基本的なスタンスです。
 私自身が急病等の理由で倒れ、延命の甲斐なく復讐が不可能な事態に陥った場合は、協力者の方々に「生存している方の拘束を解いて開放するように」と言い伝えております。彼らはあくまで協力者です。復讐の意思を持っているのは私だけですので、私が倒れれば復讐を続ける意味はありません。解放された後、できれば協力者の罪を問う事はしないでいただきたいと思いますが、まあそれは虫のいい話でしょう。皆、覚悟の上でここにいる筈ですので、そこはお好きになさってください。
 しかし、私は多少肥満気味ではありますが、それ以外は特に健康診断でも指摘は受けておりません。また、老齢というわけでもありませんので、いきなり倒れるような可能性は低いと思っております。

作品名:選び取り 作家名:六色塔