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てっしゅう
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「月ヶ瀬」 第二十一話

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事件はその後一月ほど手掛かりもなく捜査は難航を極めていたが、村人たちの全面的な協力により、月ヶ瀬に隣接する山林をくまなく捜索したところ、一部白骨化した女性の遺体が発見された。
身元を調べて久保由美ということが判明した。

佐藤警部は居酒屋で監禁されていた久保容子の証言から、由美が運び出された男たちによってすぐに殺され、埋められたと断定した。
高木も関わっていたことから、逮捕状が出た。

清一が妻由美を殺害した理由は、会田との密通であろう。自分がかつて面倒を見ていた部下と仲良くしていたということは自分に対する最大の当てつけに感じられただろう。
自分の権威が傷つけられたことが許せなかったのだ。
高木は清一の妹を妻にしている。当然清一に対して恩を感じているはず。言われたことはこれまでもいろいろ実行していただろうから、手を下したのは高木だろう。

問題は高木の妻であり、清一の妹である紀美子が会田と密通していたことで高木と会田は仲が良くないと思われる。高木にとっては妻を奪われ、信頼する清一をゆすっている会田は許せないとの思いがあるだろう。
とすれば、三人で力を合わせて及んだ犯行ではなく、単独の犯行が結びついていったのでないかと考えられる。

佐藤は整理していた。
清一が去年山崎弁護士を撥ねて大けがを負わせたのは、自分と初江との関係を知られたくなかったからだ。幸い目撃者もなく事故はお蔵入りした。
次に和田弁護士がやってきて、山崎の事故の件と清一のレイプ事件を調べ始めたことで会田と相談して、高木か会田が和田を殺害し五月川へ重しをつけて沈めた。

遺体が思ったより早く発見されたことで三人は姿を消したが、遠くへばらばらで逃げたという可能性は低い。なぜなら、誰かが捕まったらすべてがバレるからだ。
だとすれば三人は一緒に居る。または仲間割れをして残っているのは一人か二人になっている可能性もある。

指名手配をされている清一と会田、高木には安全な隠れ場所はない。
灯台下暗しという言葉があるので、案外月ヶ瀬かその近くに潜んでいると睨んでいた。
一か月も潜伏すればごみも排泄物も大量に出るし、食べ物を手に入れることも見つからないようにするには、普通に暮らしていなければ行えない。

佐藤はこれだけの捜査をかいくぐって隠れ続けることは不可能であるとの思いに至った。
月ヶ瀬町内のすべての建物は調べた。畑も山林も調べた。
殺人犯を三人も匿うほど因果関係がある人はいないだろう。
木津川と五月川沿いの山林地帯へ捜査員を増員して捜索を開始した。

獣道があれば中へ入って行ける。足跡を探し予想される隠れ場所などを検討して空からの捜査も行われた。
事態は意外な形で収束する。