赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 50~55
「最初はみんな初心者さ。
心配はいらない。お前はそのへんの連中より、しっかり
足腰を鍛えているもの。
中腰で踊る日舞は、足腰の鍛錬にもってこいだ。
ほら。このへんなんか鍛え抜かれて、見るからに、ムチムチしているもの!」
登山ズボンに足を通している清子のお尻を、恭子がポンと叩く。
『きゃっ!』悲鳴を上げた清子が、片足をズボンに突っ込んだまま、
ケンケンで室内を移動していく。
驚いたのはのんびり昼寝を決め込んでいた、たまだ。
態勢を崩した清子の大きなお尻が、たまの目の前に落ちてきた。
『うわ~っ。油断していたおいらが、迂闊だった。大ピンチだ。
今度ばかりはオイラも助からねぇぞ・・・絶体絶命の大ピンチだ!。もうだめだ!』
たまが観念して両目をつぶる。
覚悟を決めたその一瞬。横からさっと市の手が伸びてくる。
「馬鹿だねぇ、お前も。
何が起こるかわからないお部屋の真ん中で、昼寝なんかするんじゃないよ。
ほらごらん。清子のお尻は最近すっかり大きくなってきた。
あんな大きなお尻に乗られたら、お前なんか、いっぺんにぺっちゃんこの
ノシイカだ。
ホント。危なかったねぇ、命拾いしましたねぇ、たまや」
「失礼ですねぇ。そんな風におっしゃる市奴姐さんは。
少しばかり丸くなってきましたけど、それほど大きくはありません。
と、自分では思っております。
今でも、昔のままのパンツが、そのまま履けると思います。
履いてみればのお話ですが」
「履いてみれば?。ということはなんだい、今のお前は、
パンツを履いていないということかい?。
じゃ、ノーパンか?」
「はい。浴衣を着はじめた時からノーパンです。
ついでですが、ズボンを履くときもノーパンで過ごしております。
あら・・・いけないでしょうか?。
ズボンの時は、パンツを履いたほうがよろしいでしょうか?」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 50~55 作家名:落合順平