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もやもや病 8

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80 術式を知る

私は子どもが小さかったときから、ずっと、朝の教育相談のラジオ放送を聞いていた
10年ぐらい聞いていたかもしれない、最初は、特にうちの子どもと照らし合わせて聞いていたわけではなかった
でも、次男がてんかんといわれた頃には、また最初の頃と思いの違う聞き方だったと思う

あるときそのラジオの中でも好きだった先生の日に、あるお母さんが相談をした
小児神経科の治療を受けていて、今飲んでる薬があると言うときに、何を服用しているのかとその相談の先生に聞かれて答えられなかった

そのとき、いつも的確に答えられて、厳しくもありやさしくもあるその先生が言われた
「お母さん、いま自分の子どもが飲んでいる薬を覚えていないとか、何の薬を飲んでいるのかわからないと言うのは困ります。それは親としてきちんと、先生にこれはなんと言う薬でどのようなときに飲み、どのような作用があるのか聞きなさい、私たちも電話相談であなたの話でしか相談を受けられないのに、薬を把握していないようでは相談に乗ることもできません。」

言われたお母さんがどのように答えたかは覚えていない、でも私はとても印象に残った
このときから私は自分の子どもが飲んでいる薬をちゃんと覚えているようになったと思う

初めて患者会の集会に参加したとき、すぐ後ろに座っていたご夫婦が、講演の最中に話しているのが聞こえた

「おい、うちの子はなんと言う手術を受けたんだ?」とお父さん
お母さんは、なんだかよくわからないと返事をした

そのときにも私はとてもびっくりした
私は今日ここにいる中で一番新しい会員だろうと思っていた、先輩の方々はきっとこの病気に詳しいのだろうと思っていたから

そうそう、そのお父さん、こんな話を毎回聞かされてもちっともわからないと言っていたから、初めての参加ではなさそうで

それから何年も過ぎて、保健所の集まりに参加すると、今まで何も勉強してくる機会がなかったと言う方を何人も見てきた

3歳から6年生の今まで学校も毎日は行かれないと言いながら手術もしていないと言うお母さん、病院に行くことを勧めたら、うちは牛を飼っているから毎日家を空けられる日はないと、遠くの病院に行くことはできないし、近所の医者は様子を見ると言ったから、今までいるのだからと・・・

勉強はできますか?と聞いたら、計算とかできないから特殊教室に行っているということで
そんな場合もあった
このくらい病気のことを理解しないままきた人もいる
他で話を聞いても、自分の子どもの手術方法を知らないという人のなんと多いことか
ちゃんと説明してくれなかったのか、聞いてもわからなかったのか、忘れてしまっているのか・・・けれど、この手術方法がわからないと、この先どんな先生の講演を聞いても、どれがそうなのか、この先それがどう良くなっていくかの判断がつきにくいと思う

問題が出てセカンドオピニオンをと思っても、とりあえず口頭で説明するとき、術法がわからないのでは話が前に進まない

交流会の自己紹介で、バイパス手術をしましたとお話された方が、内容があまりに合わないので聞いてみたら、違う手術とわかったこともあった

良くなったとか、今問題があるとか言うことだけでなく、自分の受けた手術がどのようなことで、今飲んでいる薬はどのようなもの、それの認識をもう一度もっていたいものだと思う

今更ではなくて、もう一度主治医にどのような手術をしたのか聞いてみてください、決して恥かしいことではありませんから
病気を知ること、治療を知ること、それが病気に対する不安をなくすものだと思います…私はとにかくそう伝えてきた

作品名:もやもや病 8 作家名:とことん