もやもや病 5
43 もやもや血管
もやもや病は、首から脳につながっている太い血管が、脳の真ん中で輪になって見えるところがあって、それを名前をつけた博士の名前でウイリス動脈輪という^^
で、その太い血管が内腔から肥厚するって言うのだけれど
血管の壁が、原因もわからず厚くなってきて血液の通りが悪くなるわけ
それは動脈硬化のように外からたまってきて厚くなるのじゃなくて
血管の内腔から厚くなってくる…
その原因がわからない…
血管壁が分厚くなって血液が流れにくくなり、その先まで血流が保たれないことになると、それは脳梗塞とかいうことになる
太い血管の血流が細い流れになってしまうと、脳という組織は偉いもので、がんばって、今まで写真に写らないような細い血管をフルに使って血流を保とうとする
それがもやもや血管と言われているもの
たばこの煙を吐いたように白くもやもやと脳の写真に映し出されるから…
そのもやもや血管は、とっても大切な役割をして、何とか日常の生活を補おうとしてくれる物だけれど、いかんせん細いので
もしもそこで血圧の急激な変化や、一時的な発作とかが元で一度に細い血管に急に血液が流れようとすると、その血管が破れてしまう
そうすると脳内出血と言うことになる
ドクターが説明してくれるときにはよく、大きな道路に車が流れていて2車線がふさがって渋滞すると脇道を探していく車がある、もしかしたら田んぼのあぜ道のようなところ、でもそのあぜ道は決してちゃんとした舗装された道路ではなかったりすると、通行量によっては道が壊れてしまう…それが脳内出血と言うこと
などと説明されていた
そのもやもや血管に頼りすぎることがないように、間接でも直接でも頭の表面にある太い血管を置いてくるなり繋ぐなりして血流を保とうとするのが外科的手術ということになる
子どもが患者の場合はこの血流を保たせないで居ると、手や足に麻痺が出るTIA一過性脳虚血発作という症状が出る
それは、ほんの数秒から数分ということもあって、手に力が入らないとか、足が動かないとか…
顔がゆがむとか…
でもその時点で病院に運んでも、すぐに消えてしまう症状を医師が見つけられないことがあって、今はまだしも昔はMRIの機械もそう無かったせいか、お母さんの心配しすぎだとか、子どもがそんな病気になるわけがないとか、子どもが甘えてふざけたんじゃないかとか…育児ノイローゼ扱いをされた患者の親も多い
医学の進歩…今は個人のクリニックでも、MRIがあるところだ
でも、日本に1万1千人とか言われている患者数は、脳外科医が5千人いたとして1人で2人の患者を診るか診ないかという症例数
その先生方に、もやもや病の診断が出来るようになったのは十数年という所だと思う、画像を読み取ることが出来ない場合もある…
この脳の血管の血流量が不足しているとどういうことになるのかと言えば
子どもの場合、学校の勉強についていけない
集中力がなくなることがある
頭痛がする
そういうことを繰り返していくうちに、子どもはどんどん自信をなくす、また脱力発作が起きるかもしれない
親はその日の症状を聞いていると怖くなっておとなしくしていなさいと言うようになる
だからこそ、対処療法にしても外科手術によって血流を増やそうとする
1から10まで数えることが出来なかった保育園児が、手術の直後に数えることが出来るようになったとか
弟をいじめるようなそぶりが見えていたというのに、そういうことがなくなるといったり
片付けをしなさいといくら言ってもおもちゃをしまうことも出来なかったのに、言われなくてもしまうようになったというのは、たまたまということじゃなく、血流にやはり関係があるのじゃないかと思う
で、この手術の後、10年もすると、もやもや血管が消えていく
実際に消えてなくなっちゃうというのではなく、通常のもやもや血管本来の太さになって画像に写らないぐらいになるということ
こうなれば、繋いだ血管が血流を補ってくれるということになると、がんばってむりやり太くなっていた極細のもや血管の働きがいらなくなるということで、脳内出血の怖さがちょっと減るという感じでもあるかな…
そこでちょっと問題
特定疾患の制度の見直しの中で、24の疾患の中に軽快者という制度が導入された
これは、1年以内に1,2回という通院とか、特に問題がなさそうということで元気になったという患者を特定疾患の制度とは別に、医療費の補助の対象ではない形にしようということ
患者側としてはいろいろ抗議もしているし、問題もあるのだけれど
軽快者と言われて、それならもう制度にのらなくても良いからと手続きをしないという患者が居たりする
もやもや病の認定は両側にもやもや血管があることが認定の条件
手術のあと継続して手続きをしないで居ると、もしもまた認定して欲しいというような場合に、もやもや血管が写らないという場合も考えられそう…
もやもや病の歴史がまだ浅いので、もやもや血管が写らなくなったら進行しないのかということはわかっていない
誰だって、本当は、制度云々と言うより治りました、もう問題有りません…と言われたい、軽快者という名前なら軽いと言う意識が働く、何となくそれならもう大丈夫なのかと思いたい、希望的観測…でも結局は解明されていないから…
もやもや病の細かいことなんて特に知りたくはないかもしれないけど
要するに、0歳から70代でも、脳梗塞脳内出血が起こるという病気
それは、お年寄りの脳卒中と同じ症状と言うことで
お年寄りというのがどのくらいの年かというのはあるけれど
人生の大半を過ごされた後での脳卒中と、子どもや青年期の脳卒中はこの先が長いのにしんどいことたくさんあって…その違いは大きいと思う…