季節ものショートショート
はぁ、と吐き出した息が白い。溜息をついたのに、それが白くなると、悩み事が目の前に現れたみたいで、なんだか変な気分になる。
端的に言えば、バツが悪い。そんな感じだ。
悩みの種は尽きることがない。
今抱えているのは、執筆のことだ。
趣味で書いている小説を、ネットにアップしている。
――『書かなければならない』。
そんな義務はないけれど。
書きたいものを形にできない。書きたいものが見つからない。
――『書けない』。
こんな風に使うのはおかしいけれど、なんとなく正鵠を射ているような、これを表す言葉。それがふと、頭に浮かんだ。
二律背反。
決して正解ではないのに、私にはなぜかしっくりとした。
そもそも、感情と事情だ。並べて比べる、なんていう行為そのものが、ナンセンスだ。
だけど。
ぴったりと嵌ってしまったパーツは、分解するのが難しい。同じように、一度感じてしまった印象は、よほどのことがないと拭えない。
私はきっと、いつまでもこの二律背反に悩まされるんだろうなぁ。
そんなことを思って、私は空を見上げる。
中途半端な晴れ。明るすぎる太陽を、ぼかしたみたいな空だった。
作品名:季節ものショートショート 作家名:空言縁