「月ヶ瀬」 第十七話
5月15日の夜、木津市内から月ヶ瀬に戻って来た佐藤は、その足で居酒屋へ向かった。
店の入り口には臨時休業しますと看板が掛けられていた。
「まずいな・・・踏み込むか」
大きな声で誰かいるのか?と叫んだ佐藤だったが返事が無かったので、足でドアーを蹴り扉を壊して中に入った。
入口付近にあった電気のスイッチを入れる。
「誰もおらへんのか?奈良県警の佐藤や。隠れてもあかんぞ」
耳を澄ますと何かうめき声のようなものが聞こえた。二階の方から聞こえたので、慌てて階段を駆け上がった。
「どないしたんや!今ほどいたるさかいに」
口をハンカチのようなものでさるぐつわされ、手足をロープで縛られている久保容子を発見した。
「大丈夫か?なんであんたがこんな目に遭わされているんや?誰にされたか言うてんか」
「刑事さん・・・怖かった」
そう言ってすぐに泣きだした。
「怖いの分かるけど急いでんねん。はよ答えてんか」
「されたんはよう分からへんけど70ぐらいの男の人やった。6日の夜に清一さんから理由を聞くなって言われて、奥さんの由美さんを連れて来やはってしばらくここに置いて欲しいって言われましてん。奥さんも二階にいるから迷惑はかけへんっていわはりましたから、疑うこともなくそうしました。お店は普通に営業やってまして、何でこんなことしやはるんやろって思いながら気にはしてましてん」
「そうか、普通にしてたのに何であんたが縛られてん?」
「はい、店を閉めてから奥さんと話すようになって、和田っていう弁護士さんのことを聞いたんです。あんたは絶対にかかわったらあかんでって言われましてん。なんでそんなこと言わはるんやろってちょっと変に思いましたわ。7日の夜に会田さんが店に来て、二階で奥さんと話してました。帰り際にお金渡されて、黙っとりやって言うんです。悪気があった訳やないけど、清一さんが来た時に会田さんが来やはったよって言いましてん。そしたら、二階へ急に上がっていってすぐに悲鳴が聞こえました。もう、怖わなって・・・」
「あのな、清一の奥さんな、会田と出来てんねん。せやから7日は話してたんと違う、やってたんや」
「ええ?やってた・・・そんな破廉恥な」
「それでどないなったんや?」
店の入り口には臨時休業しますと看板が掛けられていた。
「まずいな・・・踏み込むか」
大きな声で誰かいるのか?と叫んだ佐藤だったが返事が無かったので、足でドアーを蹴り扉を壊して中に入った。
入口付近にあった電気のスイッチを入れる。
「誰もおらへんのか?奈良県警の佐藤や。隠れてもあかんぞ」
耳を澄ますと何かうめき声のようなものが聞こえた。二階の方から聞こえたので、慌てて階段を駆け上がった。
「どないしたんや!今ほどいたるさかいに」
口をハンカチのようなものでさるぐつわされ、手足をロープで縛られている久保容子を発見した。
「大丈夫か?なんであんたがこんな目に遭わされているんや?誰にされたか言うてんか」
「刑事さん・・・怖かった」
そう言ってすぐに泣きだした。
「怖いの分かるけど急いでんねん。はよ答えてんか」
「されたんはよう分からへんけど70ぐらいの男の人やった。6日の夜に清一さんから理由を聞くなって言われて、奥さんの由美さんを連れて来やはってしばらくここに置いて欲しいって言われましてん。奥さんも二階にいるから迷惑はかけへんっていわはりましたから、疑うこともなくそうしました。お店は普通に営業やってまして、何でこんなことしやはるんやろって思いながら気にはしてましてん」
「そうか、普通にしてたのに何であんたが縛られてん?」
「はい、店を閉めてから奥さんと話すようになって、和田っていう弁護士さんのことを聞いたんです。あんたは絶対にかかわったらあかんでって言われましてん。なんでそんなこと言わはるんやろってちょっと変に思いましたわ。7日の夜に会田さんが店に来て、二階で奥さんと話してました。帰り際にお金渡されて、黙っとりやって言うんです。悪気があった訳やないけど、清一さんが来た時に会田さんが来やはったよって言いましてん。そしたら、二階へ急に上がっていってすぐに悲鳴が聞こえました。もう、怖わなって・・・」
「あのな、清一の奥さんな、会田と出来てんねん。せやから7日は話してたんと違う、やってたんや」
「ええ?やってた・・・そんな破廉恥な」
「それでどないなったんや?」
作品名:「月ヶ瀬」 第十七話 作家名:てっしゅう