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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「月ヶ瀬」 第十六話

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「旦那さんのことを言うのは心苦しいとは思いますが、知ってること話してくれませんか?」

「私は何も知りませんよ。夫に・・・聞いてください」

「そうですか、清一さんは何時ぐらいに戻られますか?」

「さあ~よう分からへんけど、戻ってきたら連絡しましょか?」

「それでは携帯に電話ください。川向こうの役場の傍にある居酒屋で時間潰してますわ」

「ああ、あそこね。分かりました」

和田は絶対に妻が何か隠していると睨んだ。居酒屋へ行くと言って、家の裏側に隠れて様子を伺っていた。
暫くして清一ではなく会田がやって来た。
ちょっと驚かされたが、家の中に入ったので、妻の由美が呼び出したのだろう。
一時間ほどで会田は出て行った。

和田は居酒屋へ行かずに会田の家に向かった。
少し遅れて歩いて行ったので、先を歩く会田は和田につけられていることに気付けなかった。

「こんにちは~会田さん、和田です」

驚いたように玄関に顔を出した会田は、中へ入るように手招きした。

「急にどないしてん弁護士さん?」

「聞きたいことがあって来ました。清一さんってどこに行ったのか知ってますか?」

「清一さん・・・家に行ったら分かるんとちゃうか」

「さっき奥さんに聞いたら、分からへんと言われたもので、会田さんやったら知ってはるんとちゃうかって思いましてん」

「身内やないし、知らんな、悪いけど」

「そうですか。では先ほど清一さんの家に行かれましたね?奥様と何話されたんですか?」

「ええ?どういう意味や」

「私がその前に訪ねて、答えられへんかったことで相談でもされたんとちゃうかと考えましてん」

「何言うてるのか分からへんわ。久保さんの家に行ったのは茶畑のことで話があったからや。和田さんと入れ替わりになったんは、偶然やろ」

「ウソ言うのやめませんか?ちゃんと話してくれへんのやったら奈良県警に応援頼まなあかんようになりますよ。それでもええんですか?」

「脅しとるんか、偉そうやなあ~悪いことなんかやってへんから、警察が来ても平気やで」

「そうですか・・・しゃあないな。また出直すわ」

和田はそう言い残して、村に一軒だけある居酒屋へ向かった。
そして、この後行方が分からなくなっていた。