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２０３２年１２月２１日

　その日の夜１０時過ぎ、ＬＯＶＥ　ＢＲＡＶＥのギタリスト・ヒューゴが、あるパーティーから帰ってきた。彼はいい感じに酔っていたが理性は完全に弱体化しておらず、お釣りなくお金を払ってタクシーを降りた。
　自宅の前に立つと、家じゅうが真っ暗だった。ヒューゴは苦笑いした。
（ふっ、わが家は相変らずだな）
　しかし、どういうわけかドアに鍵はかかっていなかった。当然、彼は首をかしげた。
（え、ドアが開いてる？不用心だな）
　取りあえず家に入ると、玄関がぱあっと明るくなり、パートナーのピッパが抱き付いてきた。
「ハッピーバースデー、ヒューゴ！！」
「え、ピッパ？」
　予想しなかったお出迎えに、目を丸くするヒューゴ。そんな彼に、今度は１３歳の双子・フィオナとファビが駆け寄ってきた。
「ハッピーバースデー、ダディ！！」
「お、おまえたち！？」
　驚きのあまり言葉が出ないヒューゴに、ピッパが明るい声で言った。
「ヒューゴが帰ってくるのをずっと待ってたの！」
　母に合わせるように、フィオナが父の袖を軽くつかんで明るく案内した。
「こっちこっち、素敵なメニューを用意したのよ！」
「今日はスペシャルだ！」
　ファビが父の腰を押しながら、ダイニングへ移動した。