「月ヶ瀬」 第十四話
佐藤は名刺を手渡して次の家に向かった。
御嵩地区の全戸を捜索したが有力な手掛かりは見つけられなかった。
夜になって笠置で待つ静子と初江の前に佐藤は暗い表情で現れた。
「あかんわ。有力な手掛かりは見つかれへんかった。一つだけ分かったことは清一の妻もおらんくなっとるんや。理由は分からへん。ここに居った高木も清一の妹にあたる妻と一緒に逃げとるやろうから身近な奴は誰も分からなくなっとるんや」
「佐藤さん、お話したいことがあります」
旅館の女将が近寄ってきてそう話した。
「女将さん、何ですか?」
「はい、高木さんの奥さんの事です」
「清一の妹やな」
「ええ、仲居が話をしているところを聞いてしまったんです。刑事さんと話した間宮と言う人が他の仲居に言っていたことを思い出したんです。高木さんは奥様とは上手くいってなくて実は別居されていたんです。理由は奥様の浮気みたいなんです。詳しいことやったら間宮さんに聞いてみてください。なにか手掛かりになればいいのですが、気になったものですから」
「よく話してくれました。さっそく間宮さんに聞いてみたいから、女将さん電話してくれはりますか?」
「今からですか?」
「はい、事は急を要しますので、迷惑を承知で頼みますわ」
間宮はお節介妬きの性格なんだろう。すぐに駆けつけてきた。
「刑事さん、どないしましたの?」
「悪いな。一緒に間宮さんとお話しした和田と言う弁護士覚えてはりますか?」
「もちろんです。どないかしたんですか?」
「行方不明やねん」
「ええ~嘘やろ。なんで?」
「それを調べてるねん。聞きたいことがあるんやけど、ここに居った高木って言う人の奥さんの事や」
「高木さんの奥さん・・・清一さんの妹さんやね」
「今女将さんから聞いたんやけど、誰かと浮気をしてて、それが理由で別居してるという話知ってるか?」
「女将さん!何で知ってはるの?」
女将が少し笑いながら返事をした。
「あなたの話を盗み聞きしたの。ごめんなさいね」
「そうやったんかいな。刑事さん、高木さんはどうやら不能やったみたいでそれで奥さん我慢出来んくなって浮気しやはってん。時々月ヶ瀬に行ってたから、相手の人はそこに居るんやろね」
「ほんまか?月ヶ瀬に浮気相手が居るとしたら・・・清一にすぐにばれるやろ。なんでそんな真似したんやろ」
「それは聞いてないからわからへんわ。奥さんに聞いてみたら?」
「居場所知ってるんか?」
御嵩地区の全戸を捜索したが有力な手掛かりは見つけられなかった。
夜になって笠置で待つ静子と初江の前に佐藤は暗い表情で現れた。
「あかんわ。有力な手掛かりは見つかれへんかった。一つだけ分かったことは清一の妻もおらんくなっとるんや。理由は分からへん。ここに居った高木も清一の妹にあたる妻と一緒に逃げとるやろうから身近な奴は誰も分からなくなっとるんや」
「佐藤さん、お話したいことがあります」
旅館の女将が近寄ってきてそう話した。
「女将さん、何ですか?」
「はい、高木さんの奥さんの事です」
「清一の妹やな」
「ええ、仲居が話をしているところを聞いてしまったんです。刑事さんと話した間宮と言う人が他の仲居に言っていたことを思い出したんです。高木さんは奥様とは上手くいってなくて実は別居されていたんです。理由は奥様の浮気みたいなんです。詳しいことやったら間宮さんに聞いてみてください。なにか手掛かりになればいいのですが、気になったものですから」
「よく話してくれました。さっそく間宮さんに聞いてみたいから、女将さん電話してくれはりますか?」
「今からですか?」
「はい、事は急を要しますので、迷惑を承知で頼みますわ」
間宮はお節介妬きの性格なんだろう。すぐに駆けつけてきた。
「刑事さん、どないしましたの?」
「悪いな。一緒に間宮さんとお話しした和田と言う弁護士覚えてはりますか?」
「もちろんです。どないかしたんですか?」
「行方不明やねん」
「ええ~嘘やろ。なんで?」
「それを調べてるねん。聞きたいことがあるんやけど、ここに居った高木って言う人の奥さんの事や」
「高木さんの奥さん・・・清一さんの妹さんやね」
「今女将さんから聞いたんやけど、誰かと浮気をしてて、それが理由で別居してるという話知ってるか?」
「女将さん!何で知ってはるの?」
女将が少し笑いながら返事をした。
「あなたの話を盗み聞きしたの。ごめんなさいね」
「そうやったんかいな。刑事さん、高木さんはどうやら不能やったみたいでそれで奥さん我慢出来んくなって浮気しやはってん。時々月ヶ瀬に行ってたから、相手の人はそこに居るんやろね」
「ほんまか?月ヶ瀬に浮気相手が居るとしたら・・・清一にすぐにばれるやろ。なんでそんな真似したんやろ」
「それは聞いてないからわからへんわ。奥さんに聞いてみたら?」
「居場所知ってるんか?」
作品名:「月ヶ瀬」 第十四話 作家名:てっしゅう