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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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Queen Day

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 サラがクリームパスタとビーフシチューを食べ終わろうとした頃、ジミーは、ココアパウダーがほんのりかかったふわっふわなホイップクリームを乗せたエスプレッソを、フィルは、シナモンシュガーの香る特製シナモンロールを運んできた。
「エスプレッソ・コン・パンナでございます」
「シナモンロールでございます」
「ありがとう」
 サラはホイップクリームをスプーンですくって口にすると、サラは満足そうな顔でジミーに言った。
「夢の中に居るみたい」
 それを聞いて、彼は無言で満面の笑みを浮かべた。なお、ジミーはなぜか飲み物をいれるのがうまく、バンド内でも好評である。

 段が減るにつれコーヒー味が付いていくホイップクリームに続き、いい感じにクリームの交ざったほろ苦くてぜいたくなエスプレッソは、サラの口に見事に合った。その相棒となるシナモンロールもふんわり食感で、レーズンが所々に入っていた。彼女にとって、このドリンクとデザートは食事を締めくくるのにふさわしい組み合わせだった。
「フィル、グレート」
 その日の主役は、シナモンロールを作った「キッチンの騎士」にスローテンポでそう言うと、うれしそうな顔をした。彼も穏やかな笑みを返した。


 やがて食事を終えたサラが口周りを丁寧に拭いて、食後の祈りをした直後、何とも不思議なことが起こった。
作品名:Queen Day 作家名:藍城 舞美