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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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Queen Day

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Queen Day


2032年12月12日

 その日も、サラはいつものように仕事から帰ってきた。すると、息子とその仲間たちが
「「「「HAPPY BIRTHDAY!!!!」」」」
 と言ってにぎやかに彼女を迎え、次々にクラッカーを鳴らした。
「え、え、これはどういうこと?」
 スティーブンは、サプライズで言葉が出ない母親に話しかけた。
「今日は母さんの誕生日。今からそのお祝いをするんだ!」
「まあ!」
 サラは鼻と口元を隠すように両手を当てた。
「では、お席へどうぞ」
 スティーブンは、母を食卓へ案内した。テーブルの上には、ベーコンとアスパラの入ったクリームパスタと温野菜が盛り付けられた空色のお皿と、お鍋でコトコト煮込み、泡立てた生クリームが少々かかったビーフシチューの入った白いシチュー皿と、スライスされた2枚のバゲットが載った木製のお皿が置いてあった。もちろん、ナプキン、フォークとスプーンのセットも。
「まあ、立派なディナーね」
 うれしい驚きを見せるサラの近くで、フィルが椅子を後ろに少しずらした。
「どうぞご着席ください」
「ありがとう」
 彼女は椅子に腰掛け、お祈りをすると食事を始めた。彼女から少し離れた後方には、3人の「騎士」と1人の「王子」が立って彼女を見守っている。


 クリームパスタを一、二口いただくと、サラは言った。
「このパスタ、すごくおいしい!」
 フィルが彼女に近寄ると、そのパスタの秘密を明かした。
「これはね、スティーブンが作ったんだ」
「本当に!?」
「うん、本当だよ」
 サラは、息子のほうを向いてほほ笑み、
「どうもありがとう、スティーブ」
 とお礼を述べると、
「いやあ…」
 彼は照れくさそうな笑みを見せた。

 ビーフシチューを食べたときも、とても満足そうに
「これもとってもおいしい!これを作ったのは誰?」
 と尋ねた。すると今度はジミーが答えた。
「何と、ヒューゴだ」
「まあ、すごいわ」
 ヒューゴは、スティーブン以上に照れくさそうに笑った。普段料理をしない自分の作った料理が褒められるのは、彼にとって予想外だったのだ。
「どうもありがとう、ヒューゴ」
「いや、お礼は要らない」
 返事こそクールだったが、彼はしっかり照れ顔をしていた。
作品名:Queen Day 作家名:藍城 舞美