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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「月ヶ瀬」 第十二話

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安田初江は心配顔で事務所に入って来た。

「先生、実は私嘘をついていたことがあるんです。もっと早くに申し上げるべきでしたが、夫への配慮もあって言い出せませんでした」

「ええ、和田からの報告でそれとなく聞いていますよ。ご心配には及びません。本当のことを話されてください」

「母親が久保清一に強姦されたのではないかと言いましたが、実は・・・されたのは、私だったんです」

「良く言ってくれましたね。和田もそのことは感づいていたようですが、証言して戴けて弟さんが何故久保実智子さんを襲うことになったのか理由がはっきりとしました。後はそのことを証明できる第三者の証言か、久保清一本人の自白が必要になります。弟さんは誰からあなたが被害に遭ったことを聞いたのかが解ればよいのですが・・・」

「本当のことを始めから話すべきでした。そうすれば和田先生が危険な目に遭わなかったと考えると、どうしていいのか分からなくなりました。地理も解りますし、知っている人もいますので私が月ヶ瀬に行って警察に協力したいと思うのですが、佐藤警部と言う人に会わせて頂けませんでしょうか?」

「ええ?お気持ちはわかりますが、和田がこうなっている以上あなたまで危険にさらすわけにはゆきません。今はご自宅で私からの連絡を待っていてください」

「先生、時間の猶予が無いと思います。こうなったことも私に責任があります。夫には正直に話してすぐに月ヶ瀬に向かいます。勝手なことを言いますがよろしくお願いします」

「意志が強いようですね。分かりました。私が行けるといいのですがこの身体ですし。京都に妻の静子が居ますので、同伴させましょう。兄の行方を捜したい気持ちは同じでしょうから、助けになると思います」

「先生、奥様を危険な目に遭わせることは出来ません。一人で行かせてください」

「きっと妻は月ヶ瀬に行くと思います。ばらばらに行くのも二人で行くのも同じです。なら、ご一緒された方がお互いに心強いでしょう。今から電話しますので待っていてください」

友和は妻に電話をした。やはり月ヶ瀬に行くと言い出した。
こちらの意思を伝えて、明日にでも初江と一緒に出掛けるように伝えた。

5月13日朝、山崎静子と安田初江は京都からレンタカーを借りて月ヶ瀬に向かって出発した。奇しくも静子と初江は年齢が同じだった。
地理に詳しい初江が運転をした。