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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「月ヶ瀬」 第十話

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「生まれた子供は女の子やったんですね?」

「はい、たしか・・・初江さんだと聞いてます」

続けて佐藤が聞いて行く。

「どうして辞めていった人の子供のことを知りはったんですか?」

「康代さんは月ヶ瀬に初めて出来た居酒屋で働いていやはりました。ここにいた仲居仲間やこの高木さんにも手紙が来て、店に遊びに来て欲しいと書いてあったんです。何年ぐらいした時やったやろか、夫と一緒に飲みに行ったんです。もちろん夫は飲んでませんから飲酒運転はしてまへんよ。その時に店の二階で弟と遊んでた初江さんを見たから、知ってるんです」

「では、康代さんはご主人も呼び戻して一緒に住んでいたということですね?長男の誠治さんは本当のお父さんとの子供やろね」

「本当かどうかはわかりませんけど、誠治君があんなことになってうちら悲しみに暮れてました。康代さんもあそこにはおられへんようになって滋賀県のどこかへ引っ越したと聞いてます。康代さんのご主人は真面目な人やったんやけど、突然飲んだくれになって毎日喧嘩ばかりしてたって聞きましたわ。何があったんか知らんけど、ひょっとして久保さんとのことバレたんやないかと思いますわ」

「今日はありがとうございました。これから久保さんのところへ行くんですが、とても参考になりましたわ」

和田はそう言って頭を下げた。

「先生、うちが喋ったって言わんとって下さいね」

「もちろんです」

康代の仲居仲間だった間宮の証言は和田にあることを連想させた。
佐藤も同じように考えていた。

「佐藤、間宮さんの証言から、どうやら久保に康代さんは強姦されたんとちゃうということが分かったから、ひょっとして強姦されたのは母親ではなく娘の初江さんやなかったのかなって考えたんや」

「おれも同じように考えてたわ。だとしたら、東京でもう一度本人に会って本当のことを聞き出さんとあかんな」

「初江さんは旦那さんがいたから本当のことは話せんかったんとちゃうか。もし分かったら離婚とかになるやもしれんからな。岡崎誠治は姉が久保に犯された年齢が13歳だったとするとすべての疑問が解ける」

「そういうことや。公判でそのことは話せんやろうからな。本当の悪は・・・久保清一やな。ひき逃げのことも、隠ぺいしたことも」

「清一は誠治が孫を襲ったことを犯行の後直感して、誰かから警察に通報させて犯人を特定させた。その裏には自分がしたことを思い出したことがあったんやろ。自分と揉めていたと発言したのは、そう言えと誰かに頼んだのかも知れへん。そして、どこからか清一が姉の初江にした強姦を聞いていて誠治は一気に実智子への仕返しを考えたんやろ」

佐藤は和田の推理がかなり真相に近いとこの時は考えていた。
作品名:「月ヶ瀬」 第十話 作家名:てっしゅう