「月ヶ瀬」 第十話
高木はちらっと女将の顔色を窺った。軽く頭を下げたので話を続けた。
「へえ、時々でしたけど月ヶ瀬村の村長をやっとった人と親しかったように思います」
「それは久保清一さんですね?」
「はい、その名前で記憶しております」
「康代さんがお辞めになった理由は何だったのか覚えてはりますか?」
「たしか・・・久保さんのところで働くとか言ってはりましたね。詳しくは知りませんが、当時の同僚で仲居やっとった人なら分かるかも知れまへん」
「その仲居さんってこの近くに住んではるんですか?」
「ええ、直ぐご近所ですよ。待っててくれはったら呼んできますわ」
高木は女将に頭を下げて当時仲居をしていた女性を呼びに行った。
ほどなく高木と同じような年代の間宮と言う女性がやって来た。
「刑事さん、康代さんが何かやらかしたんですか?」
「いいえ、違うんです。康代さんは病気で亡くなっています」
「ええ~死なはったんですか!あんな元気やったのに」
「その康代さんの娘さんから頼まれて来てますねん。それに私は和田っていう弁護士です」
「すんません。高木さんが刑事さん来てはるからっていうので驚いてきたんですよ」
「ご無理をお願いしました。さっそくやけど、その康代さんと親しくしていた月ヶ瀬村村長の久保さんと言う人知ってますか?」
「ええ?久保さん・・・高木さん、言うてええのん?」
高木は頷いた。
和田が質問を続ける。
「私は高木さんから久保さんに引き抜かれて月ヶ瀬で仕事するようになったと聞きました。その辺のこと聞いてはりますか、康代さんから?」
「康代さんと久保さんは・・・出来てたとうわさやったです。ここを辞めたのは、お腹にややこが出来たからやと思います。康代さんは大阪に旦那さん残して住み込みで働いていやはりました。なんでもちょっと精神的におかしいから言うて、連れてこられへんかったと聞いてます」
「久保さんも奥さんがいましたよね。ということは叶わぬ恋をしたということになるんやね。そんな二人の子供を産むなんて出来へんやろうから、責任とって引き取って面倒見たということやろか?」
佐藤が口を挟む。
「へえ、時々でしたけど月ヶ瀬村の村長をやっとった人と親しかったように思います」
「それは久保清一さんですね?」
「はい、その名前で記憶しております」
「康代さんがお辞めになった理由は何だったのか覚えてはりますか?」
「たしか・・・久保さんのところで働くとか言ってはりましたね。詳しくは知りませんが、当時の同僚で仲居やっとった人なら分かるかも知れまへん」
「その仲居さんってこの近くに住んではるんですか?」
「ええ、直ぐご近所ですよ。待っててくれはったら呼んできますわ」
高木は女将に頭を下げて当時仲居をしていた女性を呼びに行った。
ほどなく高木と同じような年代の間宮と言う女性がやって来た。
「刑事さん、康代さんが何かやらかしたんですか?」
「いいえ、違うんです。康代さんは病気で亡くなっています」
「ええ~死なはったんですか!あんな元気やったのに」
「その康代さんの娘さんから頼まれて来てますねん。それに私は和田っていう弁護士です」
「すんません。高木さんが刑事さん来てはるからっていうので驚いてきたんですよ」
「ご無理をお願いしました。さっそくやけど、その康代さんと親しくしていた月ヶ瀬村村長の久保さんと言う人知ってますか?」
「ええ?久保さん・・・高木さん、言うてええのん?」
高木は頷いた。
和田が質問を続ける。
「私は高木さんから久保さんに引き抜かれて月ヶ瀬で仕事するようになったと聞きました。その辺のこと聞いてはりますか、康代さんから?」
「康代さんと久保さんは・・・出来てたとうわさやったです。ここを辞めたのは、お腹にややこが出来たからやと思います。康代さんは大阪に旦那さん残して住み込みで働いていやはりました。なんでもちょっと精神的におかしいから言うて、連れてこられへんかったと聞いてます」
「久保さんも奥さんがいましたよね。ということは叶わぬ恋をしたということになるんやね。そんな二人の子供を産むなんて出来へんやろうから、責任とって引き取って面倒見たということやろか?」
佐藤が口を挟む。