小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「月ヶ瀬」 第六話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
「なあ、佐藤。半年前にな義理の弟が月ヶ瀬を調べている最中に軽トラックに撥ねられて、下半身不随になってしもうてん。調べてもひき逃げしたのは何処の誰だか不明のまま、捜査打ち切りになった案件があるねん。まず今回はそこから調べたいねん。駐在の巡査に全面協力するように圧力掛けてくれへんか?」

和田は佐藤なら駐在の巡査に強くものが言えると考えた。

「気の毒にな、せやけどなんで調べるねん?十分に捜査してこれ以上は無理やって報告受けてるけど、義理の弟さんは納得できへんのか?」

「それもあるけどな、本当は別件で調べたいことがあるんや。義理の弟の事故を解決出来なかったら、もっと困難な事案になるから前に進めないような気がするねん。少しでも事故の原因を解明できる証言や協力してくれる村人を見つけられたら、大きな収穫になる。分かるか?簡単にこちらの質問に答えてくれへん村人ばかりやろうから、事故の解決は第一歩やって考えてるねん」

「なるほどなあ、お前らしい。巡査にはおれから電話しておくよ。もし非協力的やったら連絡くれ。私服の刑事ひとり連れてゆくか?」

「私服警官を?それやったら逆に村の人の口が堅くなってしまうと思うわ。気を使ってくれて嬉しいけど、遠慮しとくわ」

「そうか、なら一人で頑張り。けどな、もしお前が言う義理の弟さんの事故が、事件やったら調べているお前も狙われるんちゃうか。それ心配するから言うたんや」

「弟にも同じこと言われたよ。弁護士やっているから多少は恨まれることもある。怖いから言うて逃げてたら仕事にならへんさかいに、注意しながら調べるわ」

「これその時の調書や。特に気になるようなことは書いてないけど、巡査と会う時には参考になるやろ。メモしてくれたらええわ」

「おおきに。それからな、最後に調べておいて欲しいことがあるねん。おれでもええねんけど、警察の方がスムーズに教えてくれると思うわ。半年前からこれまでの間に村で車の買い替えがあったかどうか陸運局に聞いてみて欲しい。新規に登録された車が知りたいねん」

「なるほど、その手があったか・・・相変わらずやなおまえは。弁護士やめて検事にならへんか?その方が役に立てるで」

「刑事事件ばかりになるからやめとくわ。傷害や物盗りぐらいやったらええけど、人殺しにかかわるのは嫌いやねん。ほな、調書読ませてもらうで」

和田は何度も読み直したが、特に犯人に繋がるような部分は無かった。こんな程度の調べ方で終わってしまっていることのほうが大きいと感じた。
しかし、友達とは言え佐藤警部にそのことはさすがに言えなかった。
作品名:「月ヶ瀬」 第六話 作家名:てっしゅう