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テケツのジョニー 6

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 オイラには二人の会話の意味が良く理解出来なかった。でも後で姉さんが教えてくれた。と言うより姉さんと親爺さんの会話を聞いて判ったのだが、その昔、噺家協会では真打昇進の際に「真打昇進試験」と言うものをやっていたらしい。その試験は色々と問題があったのだが、何回目かの試験の時に好柳師が受けて、何と落ちてしまったそうなのだ。その当時二つ目で一番と言われていて、試験に落ちる事なぞ思ってもいなかった事だったそうだ。落ちた理由は、好柳師の師匠と仲が悪い噺家が審査員に揃っていて、嫌がらせをしたのだと言う。この事は噺家協会は元より、マスコミも騒がせ、問題になったそうだ。その結果「真打昇進試験」は無くなり、好柳師は昇進出来る事になったのだが、師は昇進を一年送らせて欲しいと言ったのだった。遅れたその一年、必死に稽古して、晴れて昇進した高座では圧倒的な出来に皆が驚いたそうだ。
 きっと好柳師は自分の経験から、昇進する時は充分に準備が出来てからでも遅くないと言う事を教えたかっただと思った。
「アイツは出来る奴です。名前を見て下さい」
 親爺さんはそれを聴いて
「登る柳だからな。師匠をやがて超えるかもね」
「そうあって欲しいし、そうなるはずです」
 好柳師はそう言って嬉しそうな顔をした。
作品名:テケツのジョニー 6 作家名:まんぼう