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BIRDS

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[囀り]



名前を呼ばれた気が、した

とてもか細く
消え入るような声で
確かに、あたしの名前を呼んだ

目線を泳がし、声の方へ顔を向ける

引き戸に凭れ掛かるように
大きく、突き出たお腹を両手で抱えたママが
あたしに駆け寄る事も出来ずに、突っ立っていた

『限界?』

咽喉の奥がカラカラ、鳴る
到底、あたしの声とは思えない笑い声が
頭の中、教室中にはね返る

『違う』

どうなるか、知ってたのに
どうなるか、分かってたのに

『限界だったのは』

あたしは、両手で頭を抱え込む
どうにか笑い声を抑える
けど、唇の端が歪んでいる感覚はある

『教室の窓からダイブした、彼女』

あたし達が、遊び半分面白半分で
羽根を毟り取った結果
彼女は羽ばたく事なく真っ逆様に、落ちていく

一羽の子鳥の告白に、教室はパニック状態

仲間の裏切りに
他の子鳥たちは、気が狂ったように囀りまくり
親鳥たちは状況が呑み込めずに、慌てふためく

刑事らしき二人は、動く気配がない
その足元をあたしは、視界の隅に捉えている

忙しなく
教室を出入りする足音は、教師たちだろう
一人の教師が、しゃがみ込むママを抱き留めるのが見えた

それっきり
あたしは目を、瞑る
小鳥たちの囀りが一層、激しく鳴る

うるさい
誰か黙らせて

知ってたのに
分かってたのに

今更、何を囀るの?

作品名:BIRDS 作家名:七星瓢虫