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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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ぼくは正体が観たかった

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秋の青空に
少し紅葉したもみじの葉が
飛んでいた
ただそれだけなのに
ぼくは
1万円札をもみじの葉の様に
飛ばしてみたくなった
物資的欲望が失せて
金銭感覚も失せて
1万円札の
最高に美しく見える姿を探してみたかった
結果は
どこかに落ちて
誰かが拾って
『考える』
交番に届けても
ぼくは行かないから
半年後にはあなたのものですよ
だから
そのまま
ポケットに入れてください
と囁いたのに
純真な少年は
もみじの葉で包むようにして
帰路とは別の道を
歩き始めた
必要としていた若いころ
必要なものは無く
それほど欲しくもない時には
必要以上に
だから
お前は醜いものなのか
美しさもあるのかと
ぼくは正体が観たかった