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「ところで…」

 真一君の声に、マンゴー色の氷の山に集中していた葉月さんが反応します。

「何ですか?」

「花瓶」

「…はい?」

「─ 当然…あるんだよね?」

「あ、有る筈です。家中、探せば…」

 目を逸した葉月さんを、真一君は大げさに睨みました。

「花のプレゼントをねだって、それを飾る花瓶…無いんだ?」

 俯く葉月さん。

 怒ったフリをしようと、真一君は表情を引き締めます。

 言葉が口から発せられる寸前、葉月さんは顔を上げました。

「今から、花瓶を買いに行きしょう!」

「…へ?!」

「気合い入れて、立派なのを買いますね。」

 二の句が継げない真一君に、葉月さんが微笑みます。

「だから…それに負けない様な、素敵なお花を プレゼントしてくれないと駄目ですよ? シンちゃん♡」
作品名:して下さい♡ 作家名:紀之介