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して下さい♡

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「今年の誕生日は…」

 いつもの喫茶店の いつもの席

 目の前に置かれた、花火付きスペシャルかき氷から目を逸らさず、葉月さんは呟きました。

「─ 花束を、プレゼントして下さい♡」

 線香花火の閃光の様な、細かい花状の火の玉に見入っていた真一くんが、我に返ります。

「え!?」

「何で『え!?』なんですか?」

 唇を尖らせた葉月さんに、真一君は口を引き結びました。

「花なんか…買った事ない」

「世の中には<お花屋さん>って場所が あってですねぇ…」

「それぐらいは、知ってる。」

 真一君の視線が、向かいのテーブルの真上の照明まで移動します。

「じゃあ、宅配サービスの花を頼んで…」

「シンちゃんが、私に手渡ししてくれないと、駄目です!」

 救いを求める目で、真一君は葉月さんを凝視しました。

「…花屋で花を買うのが、恥ずかしいんだけど。。。」

「そこは、頑張って下さい♡」

作品名:して下さい♡ 作家名:紀之介