遅くない、スタートライン 第4部 第1話 11/2更新
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俺がドームツアーから帰ってきて2ヶ月が過ぎた。時は3月の下旬に入った。もうすぐ4月だ!4月と言えば、ベリータイム・美裕がオープン1周年を迎える。美裕はオープン1周年記念数日前後だけパテシイェに復帰する。コック服は着れないが(#^.^#)
美裕は現在…妊娠32周9ヶ月に入った。俺がドームツアーに出る前も結構おなかが大きくて、同じ位の予定日ママと比べたら、美裕のおなかは大きかった。小柄で背も低い美裕さん…おなかだけが目立つわけです。もう…俺が主夫してますの。もうピアノも弾けません( ;´Д`)
「よいっしょと!」このかけ声で美裕は動く。聞いてる俺も口癖になってしまった。あっくんも、もちろんマネするわ。あっくんはもう春休みに入り、4月からは年長組さんになる。来年初等科1年生だよ!はぇー!
あ、話を元に戻そう。
カフェの1周年オープンは、美裕は常連さんにスィーツとドリンク無料券を配り、新規のお客様には次回優待券を渡し、お帰りの際に焼き菓子2個セットを手渡すと言っている。焼き菓子なら一度に大量に作れるし、ラッピングなどは俺達でもできる。、諒君達のカフェも外装はできあがり、今は内装をしているそうだ。内装のデザインは加奈ちゃんが担当しているので、加奈ちゃんは今、2号店に行っている。諒君もここのカフェが終わったら2号店に行っている。美裕の出産後までいてくれるそうだ。出産してすぐには働けないだろう?
美裕も諒君達にも2号店の準備があるので色々と考えていたそうだ。加奈ちゃんのホテルの後輩がまたヘルプに来てくれることになった。ホテルは辞めたそうだ!この方も海外に留学予定で、留学する7月末まで美裕の店を手伝ってくれることになった。諒君形式で臨時パテシイェとして採用した。
また、加奈ちゃんの後輩というのは覚えているだろうか?美裕がリゾートホテルの調理場で応援に入った時に、新人パテシイェを怒った子だ(笑)リゾートホテルでは、加奈ちゃんが退職後に、メインパティシエ様が退職して故郷に帰ったそうだ。新しく来たメインパティシエとはそりが合わず、リゾートホテルを辞めたそうだ。
おぉ…お名前を書いておかねば。2名いるんだぜ(*^^*)もう1名も、同じような理由で辞めてた。名前は海外留学予定の吉岡莉佳子(よしおかりかこ)ちゃん26歳と星野南人君(ほしのみなと)27歳だ。美裕は千尋さんと相談して星野君はセカンド・パティシエとして正式採用した。またカフェがにぎやかになるわ!加奈ちゃんがカフェに帰ってきたら、リゾートホテルの同窓会の始まりで、美裕も諒君も中に入って楽しそうにスィーツ談義してるもん。
今日も運動の為に歩いて、坂を下りカフェに行った美裕だ。俺も後ろから柴犬姉弟をリードで引きついていく。途中で何かあっても困るしな。この運動がいいのか、美裕はおなか大きいけど体重管理は花丸をもらっていた。あの厳しい高茂久院長先生から(*^^*) モアちゃんも順調に育っていて、今推定で1800gあるんだ。標準だって!美裕に似ておチビちゃんらしい。ま、まだ大きくなるかもしれない。身長も体重も!
「ハァ…体重い」一日何回つぶやくんだ?美裕!わかるよぉ…普段フットワークの軽い美裕だから!パティシエって機敏に動かないと作業が滞るからぁ"(-""-)"
「パパ!体交換して」とかガチで俺に言うしさ。できませんよ!そんなこと!
でも、おなかの中のモアちゃんが順調に育ってるのは嬉しいようだ。俺ももちろん嬉しいよ!この前の健診では、顔だちもハッキリ映ってた。美裕そっくりでさ、真理子第2副院長先生はこんなこと言ったんだぜ。
「ボディや顔は美裕ママに似てるけどさ、性格はMASATOパパだったらどーする?嫁の貰い手ないぞ」
って言ったんだ!冗談だけどさ、ったくあの悪魔の女医さんは口わりぃわ!
「悪かったですね!」と俺は怒ったが、あの悪魔の女医さんには堪えていない。これ以上反撃するなと兄貴達に言われてるから、そこで俺は黙ったけどさ。美裕のヤツ…顔だけ横向けて笑ってるんだぜ。
美裕の体調が良ければ、健診後にカフェテリアでスィーツ食べたり、ベビー用品を買ったりした。ベビーベッドも樹家お宝グッズの中にあり、それを使うとして、ベビーバスや哺乳瓶や哺乳瓶の消毒用品やら結構細々したものがいるんだ。俺はあっくんの時は買い物も行ってなかった。前妻の彩華は大体…親と一緒で行動するからさ。俺が行かなくてもいいやって思ってしまったんだ。一緒に行けばよかったなと、今は思う。美裕の嬉しそうな顔…前妻の彩華もしたんだろうね。ホント…前結婚生活は俺は反省ばかりだ。
高茂久院長先生のご紹介で、商店街の問屋さんパスカードをもらった。またこれも高茂久グループだから(*^^*)優待券付きだし、お安く買い物させてもらった。もう肌着の他にベビー服やスタイやバギーも買った。俺も買い物好きだが、美裕も好きだ。またあっくんにも洋服やおもちゃなど買った。この頃…お兄ちゃんエンジンかけて頑張ってくれてるから、ご褒美だ。
「美裕ぉ…そろそろ休憩せんと!足浮腫むで」
美裕はさっきからベビー浴衣を見ていた。出産したらもうすぐ初夏だ。夏の子はよく汗をかくから衣類の手持ち数を増やしておきたいみたいだ。
「うん。ねぇねぇ!どっちがいい?」
俺にピンクの浴衣とオレンジの浴衣を見せた。
「ピンク!」と俺が答えたら…
「じゃ…オレンジにする」と美裕は言う。
だったら、聞くなよ "(-""-)"
買い物を終わって、差し入れを持って諒君達のカフェに様子を見に行った俺達だ。またその時だった…
美裕は問屋さんの前で待っていた。俺は地下のパーキングから車で上がってくる間に、美裕は店頭に並んでいる花束を見ていた。
「ん?」美裕は振り向いた。そして辺りを見回したが…いなかった。
「えぇ…またか?」俺は美裕の手を握り、リアシートに座らせた。
「うん。この前も言ったでしょ?コープさんで視線感じたって」
「うーん。俺は感じないのは何でかな?」
「……声がかけにくいんじゃないのかな?今日はあっくん…連れてきてないもんね」
今日はあっくんはいないんだ。幼稚舎は春休みだけど、幼稚舎の有志で【お絵かき遠足】に行ってるんだ。郊外の植物園にお絵かきに行っててさ。お迎えは千尋さんがバス停まで行ってくれるって言ってたから、俺らはこうやって買い物してるんだけど。
俺は美裕がリアシートに座ったのを確認してから、サイドブレーキを外しアクセルをゆっくり踏んだ。ハンドルを右に切った時だ。右のサイドミラーにサングラスをかけたロングヘアーの女性が映ったのを目で確認した。でも、すぐに路地に入って姿を消した。
前妻の彩華だ!間違いない…俺は確信した。
作品名:遅くない、スタートライン 第4部 第1話 11/2更新 作家名:楓 美風