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遅くない、スタートライン 第4部 第1話 11/2更新

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いよいよ!出産だ(*^^*)

引越の翌日に妊婦健診に行った。もういつ産まれてもいいそうだ。おなかの娘も推定体重3,000gを超えた。予定日は5月16日だが、無事に産まれてくれたらいつだっていいと俺達は思っていた。俺は今…毎日目を皿のようにして美裕を見ている。こむぎとむぎたじゃないけど、美裕にリードをつけたいと思ったぐらいだ。

あの突き出たおなかで、まだ動くんだ。ゆっくりだけど家事もしてるし、日中は庭でゆっくりゆっくり足を踏みしめて歩いてる。今日も庭に出て、花壇の水やりをしている。千尋さんと雄介義兄さんはカフェに出勤した。カフェも歩いて4分だ。美裕が産気づいたら千尋さんがダッシュで帰ってくることになっている。あっくんは雄介義兄さんが見てくれることになった。有難いことだ…

「美裕ぉ!そろそろ中に入って!水分補給だ」
俺は庭にいる美裕に言った。美裕はうんうんってうなづいて、また歩き出す。
こむぎとむぎたも美裕の後ろを歩く。コイツら…姫子と一緒にカフェに行くのかと思いきゃ、行かなかった。いや、踏ん張って前に進まなかった。美裕の事が心配なのかな?

また、春花さんこと福永助産師からも毎日電話が入る。
「変わりないですか?」コールだ。美裕が電話に出て今日の様子を伝えている。
「パパ!福永助産師さんが話があるって」俺に受話器を渡した。

俺はメモを見て、千尋さんにラインをした。すぐにラインが返ってきた。そばにスマホ置いてるんだ!千尋さん
「美裕!俺買い物に行くわ。千尋さんが今から帰ってくるから!」
「どこ行くの?」美裕は俺の顔を見た。
「福永助産師さんが言ってた物!1時間で帰ってくるから。もぉチョコチョコ動くなよ」
「はぁい!」美裕はあっくんみたいに手を挙げて返事をした。

あっくんが帰ってきたら、まずママの姿を見て!
「あぁ…まだママいるぅ」と嬉しそうに美裕のそばに来る。あっくん、ちゃんとお約束守ってるんだ。美裕の前や横で走らないって!
「はいはい!いるよぉ」幼稚舎のお迎えは雄介義兄さんが行ってくれる。カフェは莉佳子ちゃん達がいるから大丈夫だ。雄介義兄さんも美裕の様子を見てから、カフェに戻る。この数日それが定着した!

真理子第2副院長先生の診断では、予定日前後2日位の出産と言われたが、状況は変わることもあるので、俺には臨機対応することと言った。俺が慌てたらダメだと!兄貴達や准達にもラインや電話で言われている。俺は毎日気合入ってるよ!美裕は…

「パパ!今から気合入れすぎ!もっとリラックスすれば?」なんて言うんだ。美裕の方が落ち着いてるんだ。母親の方が腹据わってるんだな。ま、美裕も初産だから緊張してるし不安もあるけど、そばに千尋さんがいるから安心してるみたいだ。俺も千尋さんと雄介義兄さんがそばにいてくれるから、まだパニくってないもん。

あっくんも幼稚舎から帰ってきたら、美裕のそばから離れない。あっくんと暮らし始めてからもうちょっとで1年が経つ。この1年の間にあっくんは、俺と美裕に懐いてくれた。特に美裕には懐いた。バァバが育ててくれたけど、やはりママという存在は大きなものだ。

前妻の彩華と逢った時は嬉しそうにしてたが、やはり毎日一緒に暮らしている美裕の方が存在が大きいのだ。また出産後1週間は入院するし、俺と2人の生活になる。コイツ…結構裏表あるんだ。俺の時の方がワガママだ!旅行の時によくわかった。美裕は妊娠中だからってことじゃない。また美裕の入院中に一反乱ありそうだ。( ;´Д`)

私は大きくせり出したおなかに手を当てた。
「いつ出てくるんですか?ママ…初めてなんでドキドキするんですけど」
おなかの中の娘は、最近動かなくなってきた。おなかの中が窮屈になり動けないのか?私が呼びかけたら、ポン蹴りするぐらい。千尋さんも2人の子供を出産してるが、同じような感じだと言った。

引越してそろそろ2週間が経った。私は一度妊娠しているが出産はしてないから、妊娠15周以降は初体験なことばかりだ。またそれも少しずつだが書き留めている。前回の妊娠は気づくのが遅くて色んな事を見逃していたからな。私はもうキーボードも長く打てないので、ノートに色々と書き込んだ。また小説の構想やエッセイの構想も産休に入ってから、少しずつ考えていたので、後はおなかが引っ込めば執筆したいんけど。できるんだろうか?

玄関が開く音がした。千尋さんかな?今日はパパは1時間だけカフェで対談の仕事が入っていた。ホントは都心のホテルで予定していたが、私は出産間近なので場所を変えてもらったのだ。対談の間は千尋さんが帰ってきてくれた。
「今度の医療ドラマのインタビューでしょ?」千尋さんはタブレットの画面を見せてくれた。

MASATO先生は、前からやってみたかった医療系ドラマの書下ろしを今年に入ってから構想を練って、高茂久院長先生から病院の見学をさせてもらい、また各診療科の先生から話を聞いたり、資料や書籍を読んでいた。また1本のドラマを作るということ、また1冊の本を書き上げることって改めて大変な作業だと思った。よぉやったわぁ。MASATO先生は!妊娠後期に入ってからは主夫業もしてたのに。あの人は自分でも変わったと言った。どこでも書けるようになったと!(笑)デスクにベッタリじゃなくなったと…時間の使い方が上手くなったと言っている。

千尋さんが自分とこの夕飯を作るついでに、うちの夕飯も作ってくれた。お手伝いしようと思い…立ち上がった時だ。おなかがちょっと痛かった。でもすぐに痛みが治まった。
「大丈夫?なんかさっき痛そうな顔してたけど」
「うん。チクッかな?今日…夕方健診だから、先生に言ってみるよ」
「うん。あぁ…念のために車に積んでおくわね。入院グッズ」千尋さんは私のおなかを触った。
「はぁい!よろしくお願いします」私はじゃがいもの皮をナイフで剥き始めた。

パパが対談を終えて帰ってきた。これからすぐに高茂久総合病院に健診に行くことになっている。私は千尋さんに手を貸してもらって玄関に下りた。
「じゃ…行こうか。千尋さん!あっくんよろしくお願いします」
「おやつにバナナケーキ焼いてるの」
「はいはい!了解!行ってらっしゃい」千尋さんは私のリュックをパパに渡した。

車は高茂久総合病院に向かって走り出した。もうセカンドシートには乗れないので、リアシートに乗った私だ。パパは私の妊娠がわかってから、また安全運転になった。妊娠前も安全運転だったけど!
「対談どーでした?ドラマの話ばっかり?」
「うん。キャストがキャストだろ?もうカラかわれたぜ!ファクトリーマシャドラマですか?って」
「だよね!みんな勢揃いだよね。雅樹兄貴はドラマすんごい久しぶりじゃない?竜生兄貴も」
「うん。俺が頼み込んで出てもらった。圭吾兄貴と耕太も!よぉスケジュール調整してくれた。っと」
パパは軽くブレーキを踏んだ。一般道路で信号はないが、角からよく自転車やバイクが出てくるところだから。

あら…美裕がしゃべらなくなったぞ?俺はルームミラーで美裕を確認した。美裕…下向いてるぞ?
「美裕ぉ…どーした?」
「パパ…後どれぐらいで病院つく?」下向いていた美裕が顔を上げた。