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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「かぐや姫」 第四話

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ボクは何から話そうか少し考えていた。感の良いかぐやは、自分のことで前々から気になっていたことで、父親が話そうとしているのだろうと予想した。

「お父さん、かぐやの出生のことでお話があるのではないですか?」

その丁寧なものの言い方で、かぐやは既に大人の理性を備えているだろうと感じた。

「うん、何から話そうか迷っていたんだ。初めに言うけど、どんなことをこれから聞いてもお前のお父さんはボクだし、お母さんは美加だ。それだけは譲れない」

「はい、もちろんです」

「戸籍上かぐやは養女となっている。つまり、ボクと美加が生んだ子供ではないんだよ」

「気付いていました。周りから翔と似てないと言われ、父や母とも似てないと言われてきましたから」

「そうか、気付いていたのか。もっと早くに言うべきだったな。許してくれ」

「許してくれだなんて、謝るようなことではないですよ、お父さん」

「そうだけど、黙っていたことは心苦しかったんだ。お前を見つけたときに自然と施設に預けるのではなく、お父さんが育てたいと強く思ったんだよ。美加も賛成してくれて結婚してここまで来た。驚くかもしれないけど、お前をお父さんに預けた人は誰だか解らない。しかし、大切に育てるとお父さんは約束した。誰にではなく、自分にだよ」

「私は・・・捨てられていたということですね?」

「正確には違うんだ。預けられたんだよ、そこにいたお父さんに」

「そこにいた、とはどういう意味ですか?」

「かぐやは乗り物に乗せられていた。立派なものだよ。見たければ倉庫にしまってあるから見せるよ。預けた人からの伝言で、必ず保存しておくようにと聞かされたからね」

「お父さん、かぐやはお父さんとお母さんの子供です。翔は大切な弟です。これからもそうであり続けたい。出生なんて私には関係ないです。中学へ行っても苛められることがあるかも知れないけど、負けないで胸を張って言い返します。生みの親より育ての親だと」

「うん、お前は見違えるほど成長したよ。お父さんには自慢の娘だ。それはお母さんも同じ思いだろう。負けずに頑張って欲しい」

「はい、心配しないで。本当のことを話してくれてありがとう。じゃあ、お風呂に入って来るね」

ボクは冷静に話を聞いてくれたかぐやに感謝した。いや、驚かされたと言った方が良いのかも知れない。
お風呂上がりの長い髪の毛を乾かしているかぐやを何気に見ると、子供のころに気付いていた首の後ろの傷がいまだに治らずに残っていることに疑問を感じた。