真・平和立国
古川が声を張り上げる。
「いえ、モグラ叩きです。ウチの輸送機が地対空ミサイルの攻撃を受けました。幸い回避できましたがね。米軍は今度こそミサイルを叩き潰す。って鼻息荒くしてましたよ。」
佐々木も声を張り上げる。ちょうど2機目が離陸するところだった。
「ウチのって、ちょっと、マジですか?空自(航空自衛隊)ってことですか?」
「そうです。先週も、先々週もやられたんです。当たりませんでしたがね。やつら、積み荷を狙ってるらしいです。」
怪訝そうに古川を見つめる。
「えっ、そんなことがあるんですか?それって、交戦状態ってことじゃないですか?」
古川の声が上ずる。自分でも情けないくらい動揺している。
「日本では、知らされてないんですか?」
古川は首を横に振る。
「何てこった。。。私は何度も報告したのに。。。そうか、だから何も指示が来なかったんだ。」
日焼けした佐々木の顔に赤みがさした。それとは対照的に噛みしめられた唇は見る間に白くなった。
「残念ながら、日本人は知りません。この状況を。。。」
古川は申し訳なさそうに佐々木を見つめた。