声を裏返さない様に…
「ふ、降ってきたねぇ…雨」
前席の制服の背中に、私は話し掛けます。
「ねえ。持ってきた? 雨具とか…」
窓から教室の外を見ながら、山下君は頷きました。
何とか声を裏返さない様に、言葉を続けます。
「わ、私…忘れちゃって。。。」
山下君は、鞄から探し出した何かを差し出しました。
「はい」
「…何これ」
「2人分あるから。」
手渡されたのは、分厚いA5版サイズのポーチ。
「あ、雨合羽?」
頷いた山下君に、私は頭の中で抗議の声を上げます。
(そこは『傘持って来てるから、入ってく?』でしょ?!)
前席の制服の背中に、私は話し掛けます。
「ねえ。持ってきた? 雨具とか…」
窓から教室の外を見ながら、山下君は頷きました。
何とか声を裏返さない様に、言葉を続けます。
「わ、私…忘れちゃって。。。」
山下君は、鞄から探し出した何かを差し出しました。
「はい」
「…何これ」
「2人分あるから。」
手渡されたのは、分厚いA5版サイズのポーチ。
「あ、雨合羽?」
頷いた山下君に、私は頭の中で抗議の声を上げます。
(そこは『傘持って来てるから、入ってく?』でしょ?!)
作品名:声を裏返さない様に… 作家名:紀之介