遅くない、スタートライン 第3部 第5話10/14更新
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次の日の合同ライブは大盛況で終わった。もうアンコールの続出で当初の予定より数曲オーバーしてしまった。でもすごく楽しかった。大ドンの桑さん達も終わった時には、ステージから下りた途端にそこから動けなくなった。大ドンの桑さん・氷室さんをオンブして背負ったのは、疲れてるはずなのに…雅樹兄貴と竜生兄貴だった。途中で圭吾兄貴がオンブを代わったけど。またオンブされてる桑さん・氷室さんの顔は嬉しそうだった。
そんな風景を樹先生が撮影していた。樹先生も連日撮りまくりん、撮影台の椅子から下りる時に足がつんのめった。もう指も痛いし、腰がヤラれたそうだ。クテクテに疲れた俺達を…また真理子第2副院長先生達が注射に点滴をしてくれた。先生達に言わせれば、毎年の事なので慣れてると言った。あの大ドンの桑さん・氷室さんもケツに注射打たれていた。俺達はハラにグッと力を入れて、笑うのを必死にこらえた。笑ってみろよ!明日はない!と俺達は思っています。
俺も家に帰ってきた時には、もう一歩も歩けずにファクトリーマシャのスタッフにオンブしてもらった。またスタッフも慣れたもので、俺をベッドまで運搬してくれた。いや…美裕はムリ!あっくんには到底ムリだろう!
もう次の日の昼過ぎまで俺は爆睡した。あっくんも美裕に言い聞かされたのか、ベッドルームにも近寄ってこなかった。ま、来たとしても俺は気づかなかったと思うよ。起き上がった時に体中が痛くて悲鳴をあげ、美裕とあっくんが笑いながらベッドルームに入ってきて、俺の体中にシップを貼ってくれた。また柴犬2匹も俺の顔を一生懸命舐めてくれた。俺が起きたら…家族だけのクリスマス会をする約束をしていた。
もう…こむぎとむぎたにサンタの帽子まで被せて、あっくんはサンタの服と帽子をかぶって美裕が作った料理やケーキを食べた。あっくんはしゃべるのも嬉しいが、食べるのも忙しい。美裕に注意されてた!この頃…美裕もあっくんに注意したり、言い聞かせたりするようになった。
結婚しての初めてのクリスマス…あっくんとも初めてのクリスマスかもしれない。俺…あっくんが9月に誕生してから、取材旅行を頻繁に行ってたし、前妻の彩華は実家に頼りっきりでさ。家に帰っても義両親が来ていることが多くて、つい足が遠のいていた。俺もいけない点はあげればいくつでもある。前妻の彩華だけが悪いわけではない。
初めてのクリスマスに、俺はこの為にビデオカメラも買った。あっくんがクリスマスソングを歌ったり、美裕のおなかをなでては笑ってるあっくんを一杯撮った。あっくんにも使い方を教えて俺と美裕も撮ってもらった。最近ではモアちゃんが元気よく動くし、兄貴達に教えてもらった聴診器で胎動を聴いている。これもビデオで撮った!
あっくんはサンタさんになにをお願いしたのか、俺はリサーチしていたが。美裕があっくんの行動を見る限り…欲しいものは何点か思いついた。でもガックリさせるとかわいそうだからさ、サンタさんにはがきを出したら?ってあっくんに振った。そのプレゼントをカフェのパントリーに隠してあるんだ。家の中じゃバレちゃうし!
あっくんははしゃぎすぎで、ソファのクッションを枕に寝ていた。またぁ…こむぎとむぎたもあっくんの横で丸くなって眠っていた。これを見た美裕が…
「かわいすぎ!」と言ってカメラを持って撮影したのは言うまでもない。俺もスマホとタブレットで撮影した。
「すっかり家になれて、私達との生活楽しんでくれてるね。あっくん」
美裕はあっくんの毛布をかけなおしていた。
「うん…当初はちょっと不安だったけどさ、コイツ結構…環境適応力あるわ。俺よりあるかもしれん」
俺はあっくんの前髪を指でかきわけた。もぉ…はしゃぎすぎで汗で前髪がおでこに貼りついていた、あっくんだ。
「うん。このご近所さんでもお友達もできたし、幼稚舎も楽しいし。千尋さん達にも懐いてくれてね。子供の方が環境適応力あるのかな?うらやましいわ」
「まぁな…さて、コブは寝たし。ママぁ!大人のクリスマスしよぉ」俺は美裕のおなかに手を当てながら言った。
「兄ちゃんも寝たから、モアちゃんも寝なさい」と言ったら…美裕に頭を叩かれた俺だ。
翌朝…
あっくんはテーブルの上に書かれた画用紙を見ていた。サンタさんは定番…靴下の中にプレゼントだろ?あっくんのリクエストは靴下には入らなかった。
「パパぁ…これなに?」案の定俺に聞いてきた。美裕はカフェにもう出勤したのでいなかった。
「サンタさんがプレゼント取りにおいでってさ」俺はあっくんにコートを見せた。
「どこに?」
「その画用紙まだあるぞ。家の中…探してごらんよ」
あっくんはキョロキョロし、ここぞと思うところを探した。
最後の画用紙は…玄関のシューズボックスに貼ってあった。美裕が作ったんだ!
「あったぁ!カフェにあるの?」あっくんは驚いたみたいだ。
「みたいだな!あぁ…サンタさんさ。家わかんなかったのかも」俺はトボけた。
「かなぁ?」あっくんは首を傾げた。
カフェでは…あっくんが来る前に芝生整備していた。諒君がブルゾンを着てフェンスを雄介義兄さんと作っていた。
千尋さんと加奈ちゃんは、段ボールの梱包を解いてプレゼントに飾り付けをしていた。美裕はハンドムービーを構えていた。
あっくんはまた…カフェも画用紙方式で、プレゼント場所に誘導された。
「ッハッハ!」雄介義兄さんが声を出して笑っている。諒君も加奈ちゃんも横で笑っている。
「あっくん!手を振ってニコッ!」美裕の声が響く。
あっくんは…電動の子供用車を乗ってハンドルを操作するのに必死!笑う余裕なし!だったが、さすが俺の子と思っておこう。うまくハンドル操作をできるようになった。そうなんだ!あっくんのリクエストは、あきやくんちで見た子供用電動自動車だった。カフェの庭なら芝生も引いてるので、ヘルメットやひじ・ひざのサポーターもしてる。大きいけがはしないかなと思ったんだ。もぉ…遊びすぎて充電しなければいけないぐらい、遊んだ。最初は俺が横についてハンドル操作を教え、諒君がブレーキとアクセル(ちゃんとついてる)を教えたんだ。
「もう電池なくなるからぁ!車さん休憩だ」
「うん。あぁ…たのしかった!のどもかわいた!おなかもすいた」と言ったあっくんだ。
千尋さんが笑いながら…
「やっぱり…マサ君の子ね」その声に美裕は…
「ホント!ますます似てくるわ」嬉しそうに笑った。
作品名:遅くない、スタートライン 第3部 第5話10/14更新 作家名:楓 美風