こんな所に。。。
「…えーとぉ」
いつもの喫茶店の、いつもの席
注文の品がテーブルに揃うや否や、和香さんは上目遣いをします。
「お願いが、あるんだけどぉ…」
「『さっき買った本 読んでも良い?』なら、却下。」
「えー 何でぇ~」
「─ 今、デート中だって…認識してる?」
「でもぉ~」
「約束、したよね」
「ちょっとだけ! 10ページだけだから!!」
正也君は無言で睨みました。
唇を尖らせた和香さんが、身を乗り出します。
「声を上げて、大泣きするよ?」
諦めた正也君は、渋々譲歩しました。
「本当に…10ページだけ、だからね。」
満面の笑みを浮かべる和香さん。
頭の中で口ずさみます。
(10ページだけで終わるなんて…あ・り・え・な・い♪)