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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第三十五話

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「なあ、洋子がいない時だから言うけど、おれ再婚するかも知れない。どちらにしてもお前と洋子のことは約束通り継続するから心配するな」

「ええ?そうなんですの!ビックリしました」

「そういうわけだ。お前はあの彼とどうしているんだ?」

「何度も言いますけど、彼なんかじゃないですよ。お付き合いなんかしていません」

「怒るなよ。もう夫婦じゃないんだから。じゃあ、他の奴と付き合っているのか?」

「誰とも付き合ってなんかいませんよ。なぜそんなこと聞くの?」

「いや、綺麗になったように感じたから恋愛しているのかって思っただけだよ」

「本当にそう思われているのでしたら、嬉しいですけど。今までと変わりませんよ。前まではあなたが気付けなかっただけじゃありませんの?」

「きつい言い方だなあ~まあいいや。再婚したら洋子経由でいいから教えてくれよな」

「あなた、東京へ来てから私に内緒でお付き合いされていたんじゃないですか?」

「洋子には言うなよ。お前もしていたのだからお互い様だよ」

「酷い方ね。だったらあんなこと言われなくてもよろしかったのに」

「離婚したかったからそうしたんだよ。結果的にはおまえだって良かったと思っているだろう?いまさら蒸し返すなよ」

「そうね、私も再婚するかも知れませんよ。温泉で一緒だった人ではありませんが」

「お前・・・何人かと付き合っていたのか?」

「そうだと言ったらどうします?」

「いや、人は見かけによらないって思わされるよ。おれとの時とは違うセックスをしていたのかと思うと、飽きれるよ」

「何ということを言うの!そういう関係じゃなかったって言いましたでしょ!それに離婚したと言っても女性ですよ私は。あまり露骨なことはおっしゃらないでください」

「そうだな。ついつい馴れ馴れしく言ってしまったよ。お前は見た目若いから、モテるって思う。いい相手見つけて幸せになってくれよな」

「ええ、そうなるといいのですけど。あなた、優しくなりましたね。彼女さんと仲良くなさってくださいね」

洋子が内川と優華を連れて戻って来た。
二人を紹介して、少し話して春樹は帰っていった。
洋子はタクシーまで見送りに出た。

「ねえ、パパ。名古屋へ来ることがあったら電話してね。怒ってないから、ごはん食べよう」

「ああ、そうだな。結婚するときは遠慮なく言えよ。出来るだけのことはするから」

「まだ早いよ!それよりパパは?」

「おれか・・・どうかな。仕事も忙しいしな。じゃあ、また」

「うん、またね。気をつけて帰ってね」

洋子は父親がこれまでとは違う様子に何かあると感じていた。
佳恵と優華と内川が待つロビーに戻り、明日の予定を決めていた。