立っていたのが。(双子と三つ子)
「み、三つ子さんですか?」
尋ねた私に、3つの同じ顔の1つが答えました。
「私が長女で曽斗野奈美。こちらが次女の多美さん。で、佐美さん」
横に立っていた佳子さんが、私の肩に抱き付きます。
「彼女は、穂積の華ちゃん♡」
亜子さんは、佳子さんを私から引き剥がしました。
「転校してきたのは…華さん一人?」
「はい。そうですが?」
「まあ、そうだよねぇ…」
私から剥がされた佳子さんを手招きする多美さん。
「以前、話題にした事があってねぇ」
抱きついてきた佳子さんの髪の毛を撫でます。
「双子と三つ子が揃ったから…次は、四つ子のそっくりさんが現れるかもって」
頭を撫でられながら、佳子さんが呟きました。
「でも…1人と双子と三つ子で、1・2・3と揃いました♡」
佳子さんのほっぺを、佐美さんが突きます。
「じゃあ次こそは…四つ子が登場するかもだね! かぁ」
「…そんな冗談みたいな事、起きると思います? 佐美姉さま」
口に出さずに、私は思いました。
(1つの高校に、6人の同じ容姿の人間が揃うだけで…十分『冗談みたいな事』だと思うのだけど。。。)
作品名:立っていたのが。(双子と三つ子) 作家名:紀之介