遅くない、スタートライン第3部 第4話 10/3更新
(1)
世間と言うのは、特にスポーツ新聞や週刊誌はどこからそんな古いネタ探してくるんだ?と思うぐらい変な記事やネタを振ってくる。前妻との事もチラッとでたが、ゲラ刷り時点でファクトリーマシャの社長が力で抑え込んだ。不発記事も多数あった。俺は見せられて、不謹慎だが口開けて大笑いした記事もあった。前妻との記事は美裕の目に入ったら、気分も悪いだろうとは思ったから、社長のその対応には感謝していた。
俺…前妻の彩華とは交際期間3ヶ月で結婚したんだ。若いってこともあって、俺が27歳で彩華が25歳での結婚で、結婚してすぐにあっくんを授かった。ハネムーンベイビーよりも前にね!俺の仕事の関係もあって、入籍はしたけど結婚式もパーティもまだだった。前妻の彩華はこれも不満の一つだった。その時の俺は【仕事だからしょうがねぇだろう!】って彩華に怒ったわ。結婚式などの段取りは彩華に任せっきりで、セットの【結婚式・パーティ・ハネムーン】をした。あの時の俺はホント…無責任だったわ。ハネムーンも俺が行きたい場所じゃなかった。ま、彩華に一任してたから、文句は言わなかったけど態度に出てたらしい。それからすぐにあっくんを授かった。また離婚する時に言われたわ!【私一人に全部押し付けてた】と!
俺も前結婚時代の経験を踏まえて、美裕との結婚生活を営んでいるぜ。おかげで連携の取れた夫婦関係だ。ま、あっくんもいるからな。あっくんも俺達の生活にも慣れ、幼稚舎も楽しい・お稽古ごとも楽しいみたいだ。毎日の夕食の時には、幼稚舎の事やお稽古の事を話してくれる。また美裕もそれを嬉しそうに聞いてるし、俺も聞いてて楽しい。
セカンドシングルの【モア・プレゼント】もおかげさまで、初登場でランキング1位をいただきました。その週に歌番組5本出たぞ!収録も生ライブもあったけど。歌手・MASATO仕事はそれで一旦落ちついた。また来月から歌手仕事は始まるが、それまでは作家業だ。スィーツロードの第2部と俺は以前からやってみたかった、医療モノのドラマを手掛けることになった。12月のファクトリーマシャの冬のファン大感謝祭と桑さん達と合同のライブもあるからな。この1ヶ月半で、作家業に専念しなきゃな。美裕の作家指導もあるし!
美裕はこの9月…あっくんの5歳の誕生日に初めてのハードカバーを出版した。書き溜めていたエッセイを編集して出版した。俺のかもめ本をモデルに、自分も出してみたいと前から言ってたもんな。あっくんの5歳の誕生日を千尋さん達とお祝いし、その翌日に初版完売と学校長から連絡があった時は、美裕は拭いていたお皿を落とした。それぐらいビックリしていた!
「ホワイト&オフホワイト&セミグレー」ってエッセイなんだ。その日によって出だしをこの言葉を使ってさ、美裕の1日を簡潔にまとめてるんだけど、その文章が日常的によくあることで、全世代から共感された。俺も監修しながら読んでいる時に…
「あぁ…あるある!わかる」と何度うなづいたか!それぐらい日常溢れている文章だった。
9月の中旬から、都心でサイン会をした。また桑さんは面白がって、夫婦でサイン会をしたらどうだと、学校長に企画をプロデュースした。学校長も面白がって、そこにファクトリーマシャが入ってみろよ!大企画になるで。案の定整理券を出し、先着50名にしたら…大げさじゃないんだ。1,000人近く整理券欲しさに並んだ。
それで50人だよ?20倍の確率でしか当たらん。俺と美裕はビックリしたさ!だから50名の方には真心を込めてサインして握手しました。整理券を逃した方には、急遽ファクトリーマシャの社長が手配してくれてた。
またポストカードは、歌手・MASATOと、これいつ撮ったんだ?俺ら夫婦二人とアニメキャラクターのお面をかぶったあっくん・こむぎとむぎたの家族写真も大特急で印刷所に申し込んでくれて、ファクトリーマシャスタッフが配ってくれたんだ。喜んでくれたよ!外で待ってる人たち!
おかげさまで、美裕も新人作家売上ランキング上位に入った。新人賞準大賞を獲得してから、ジワジワとランキングしていたが、このエッセイ本で2位に入った美裕だ。1位はあの新人賞大賞の人だったが。美裕の同期新人作家達も頑張ってる。2人とも10位以内にランキングしてるからな。いいことだ!頑張れ!
俺も美裕も仕事も忙しいが、生活は充実している。規則正しい生活(笑)あっくんと共に仕事が立て込んでなければ、夜の21時半に就寝し、美裕は朝4時半起きで家で仕込みをし、俺達の朝ごはんを準備して午前6時半に出勤する。俺らも午前6時半に起き、子犬のお世話に朝ごはん食べて、あっくんは俺がバス停まで送り、俺は家に帰って主夫して昼前にカフェに行き、カフェのお手伝いもするときあり、個室が開いていたら貸してもらって、そこで作家業をしてることもある。美裕も同じ事をしている。家に帰ってからなんて無理だ。思いついたら、すぐ文字にするが俺達作家夫婦のくせになった。
そして時は流れ…11月の中旬で紅葉がきれいな季節になった。あっくんが幼稚舎の遠足で行ったお山にまた行きたいと言った。夕ご飯の時だ!もみじを拾って幼稚舎でもらった紙に押し花したそうだ。それを俺に見せてくれて…
「またいきたいの。パパ・ママつれていって」と言った。美裕はこの日は町内会の寄り合いがあり出席していて、この時はいなかった。
「いいけど、ママに聞いてからな。ママもきっとお写真撮りたいっていうぞ。こんなにきれいだもんな」
「うん。ママ早く帰ってこないかな?」あっくんはドアの方を見た。
作品名:遅くない、スタートライン第3部 第4話 10/3更新 作家名:楓 美風