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遅くない、スタートライン 第3部 第3話9/23-3更新

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(1)

朝からうるせぇ!俺昨日…寝たの2時なのに。1階から聞こえてくる子供の声に子犬の鳴き声で目が覚めた俺だ。1階のキッチンは吹き抜けになっていて、声が上に響くんだ。起きなきゃな…起きて行かなければ、俺は間違いなく襲撃される。息子に!

「パパぁ!おっはよぉ!!」来た来た…ドアの開く音がした。俺の息子…あきとくんだ。先週の日曜日から俺の元で暮らしている。
「はいはい…起きてるから!うわぁ!やめろぉ!!」俺の声が聞こえても、コイツやめない。ベッドにダイブしてくるんだ!4歳時とはいえ、こいつは重量級だ!

「俺…謝ったでしょ?昨日…」
キッチンであきとのお弁当を作ってる美裕に言った。
「あれで?」一言かぃ?
「すみませんでした。許してください!何かリクエストでもあるんですか?」
俺のその声に、あきとが笑った。また美裕も笑った…何なんだよ。2人して!

「え、キャンプに行きたいん?じゃなくって…カフェのお庭で」
「うん。あきやくんとぉ!みはるちゃん・ふうきくん・いちかちゃんでお泊りごっこ」
あきとが嬉しそうに言う。4日前から幼稚舎に通いだしたあきとは、あきやくんとみはるちゃんと同じクラスになり、お昼休みにふうきくん・いちかちゃんとお友達になったそうだ。で、この前の海の日の連休に、福永家はオートキャンプ場でテントを張って泊まったらしい。それが楽しくて、あきとに言ったそうだ。楽しそうだな…

「美裕ちゃんはいいって言ったの?美裕ちゃんのカフェだぞ」
俺はあきとの目を見て言った。
「うん。みひろちゃんもテントにとまりたいって。いい?パパ」
「美裕ぉ…大丈夫なのか?テント張れるスペース取れるのか?」
美裕はワゴンで俺達の朝食を運んできた。

「いいよん!あぁ…パパぁ!子犬たちのお世話してぇ。私もう出るから!」
「はいはい!」俺は立ち上がって子犬のケージに近づいた。あきとももちろん…ついてくる。

「こむぎ・むぎた!チッコするよぉ」あきとが嬉しそうに言った。
最近…【チッコ】でシートにしてくれるようになった・我が家の柴犬・黒柴ちゃんがこむぎ・白柴がむぎた だった。
あきとに名前を考えさせたら、あきとが考えた名前と俺ら考えた名前が一致したんだ。びっくりしたわ…

俺が「こむぎ」で美裕が「むぎた」だった。もう決まりだよ!一発で!
あきとが来た日に子犬たちも我が家に来た。石田先生と美咲さんが連れてきてくれた。
あきとは子犬たちに向かって…
「ボクと一緒ぉ!」と喜んだわ。同じ日に来たんだ…忘れないさ。【家族記念日】を…


チッコしたシートをあきとが専用ごみ箱に持って行ってくれる。俺はその間にフードを用意して、子犬たちに食べさせる。もう完全離乳してるので、少しふやかしたフードに粉ミルクをかけてやるんだ。違うお家に来て食欲をなくす子犬もいるそうだ。子犬たちがフードを食べるのを見ていなければいけない。のどを詰まらせる事もあるから!美裕は俺達の後ろに立ってそれを見ていた。

「今日も元気さんでよろしい。では行ってくるね!」リュックを持ってリビングを出て行った。
「みぃちゃんママ!いってらっしゃい」あきとの声がリビングに響く。俺も…
「ママぁ!いってらっしゃい」と手を振る。
美裕は嬉しそうな顔をして…
「あーぃ!行ってきます。あっくん!今日はパパとバス停まで行ってね。帰りはみひろちゃんが行くからね」
「はーい」あきとはこと、あっくんは元気よく返事をした。

あきとは自分で幼稚舎かばんを持ち、美裕が縫った手提げかばんを持って玄関で待っていた。
「パパぁ!!はやくぅ」あっくんが呼ぶ声が聞こえた。
俺は子犬たちをケージに戻し、自分もリュックサックを持った。俺も仕事だよん!

幼稚舎のバスルートにかろうじて、うちの隣町の名前があった。車で10分ぐらいでいける。時間に余裕がある時はあっくんを自転車の後ろに乗せてバス停まで行くんだけど、今日は車だ。俺は今日は都内で仕事だ。あっくんが来るまではバスで駅まで出て地下鉄を乗ったが、子供一人いるとそれはムリだってわかった。あっくんをバス停で下して、バスが来るまであっくんと待つ。あっくんの他に同じ年少組の男の子がいた。1人は年長組の女の子だ。女の子の方がしっかりしてらぁ!あっくんともう1人の子 みなと君は年長組のまりなちゃんの僕だよ ( *´艸`)

今日もおしゃまなまりなちゃん…俺に話しかけてきた。歌手のMASATOってわかってるからな。この子…女の子はホントしっかりしてるよ。バスが来て俺ら親は【バイバイ】して別れる。お母さん達もワーキングマザーさんだ。俺は車でみなと君・まりなちゃんママ達は同じバス停から通勤している。俺達親も【バイバイ】して別れるのが日課となった。

あっくんが来て1週間経った。私は妊娠したことはあるが産んでいないので、わかばマークのママには変わりないのだ。あっくんはバァバに言われたのか、一緒に暮らす日から私の事を【みぃちゃんママ】と呼んでくれた。無理して言ってるのではないかと気がかりだったが、くったくなくあの笑顔であっくんは私を名前つけでママと呼んでくれた。呼ばれた時は、目が潤んだ。しょうたも産まれていれば…ツイ思ってしまう私だ。千尋さんに言われた。しょうたくんはこの世に誕生することはできなかったけど、あっくんはしょうたくんではないと言われた。その通りだ!マサ君はしょうたくんとあっくんを重ねてもいいと言ってくれたが、あっくんとしょうたは違うから!私は千尋さんに言われてから、あっくんのママとして接している。ギコちないところもあるが…今のところ頑張っています。


「美裕ぉ!そろそろ出ないと」千尋さんがレジから声をかけてくれた。
「おぉ…お迎えの時間だ。行ってきます」私は車のキーを持ってカフェを出た。

私の片手には持たれているのは、今日のお稽古用具が入っているお絵かきセットのかばんだ。また私はティータイムのピーク時が済んだら、今日はあがりだ。後は諒君と加奈ちゃんにお願いしている。あっくんはバァバの家からお絵かきとスイミングに通っていたが、どちらもここから行くのには遠い!どこかいいところはないかと探していたところ、石田先生のご長女・咲奈ちゃんが通っているお絵かき教室を紹介してもらった。石田先生ちはS区だが、うちもS区の端にある。お絵かき教室は石田先生ちとうちの中間地点にあるので、通えない距離ではない。毎日じゃないし、火曜日の午後5時からだ。私は水曜日は仕込みの日だから、急いで帰る必要もない。今は諒君と加奈ちゃんがいるので比較的に時間が取れる。今日はそのお絵かき教室の時間なのだ。あっくん…絵がとても上手だ!美咲さんがあっくんの絵を見て咲奈ちゃんが通っているお絵かき教室がいいと言い、雅樹兄貴のご長男・舜樹君も通っている。

あっくんの乗ったバスが見えてきた!私は手を振り、あっくんと同じように先生にお別れのご挨拶をした。あっくんは自分でチャイルドシートに乗り込んでベルトも固定できる。運転する前に私もベルトのチェックをしますけど、あっくんは私達が思っているよりお兄ちゃんだった。

「あっくん!お絵かき教室の後はパパのお仕事場に行って、前に言ってたところ見てみたい?」