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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第三十一話

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同僚の吉岡の厳しい突っ込みでどうなるかと冷や冷やしたが、斎藤のフォローと笑いが起こったことで話題が違うことへ移った。
歓迎会は二時間ぐらいで終了して、その後はカラオケに行こうとなり、唄うことが苦手な私は聞き役に回っていた。

途中トイレに立った私を追いかけるように出てきた斎藤に後ろから声をかけられた。

「内田さん、お話が・・・」

「ええ?はい。何でしょう?」

「この後予定が無ければ、少し二人で話したいのでもう少ししたら抜けませんか?」

「そんなこと出来るのですか?私の歓迎会でしょう?」

「二次会なので順次解散でしょう。吉岡さんは帰りたいようなことを言っていましたから、彼女が帰ると言ったタイミングでボクがお開きにしようと言いますから、そのあと一緒に出ましょう」

「ええ、そうですね。もうお酒は飲めませんけど・・・」

「じゃあ、ちょっと話すだけにしましょう。後ほど」

斎藤は何を話したいのだろう。離婚したことを知って、ひょっとして・・・いやそんなことは無い。15歳も年が離れているのだ。
トイレから戻ったら、吉岡は帰ると言い出した。そして斎藤がお開きにしようと話してカラオケが終了となった。時間は九時半を回っていた。

明日はお店が定休日なので、今夜は遅くなっても差し支えない。そのことも手伝ったのか少しビールを飲み過ぎたかも知れない。店長も結構酔っていたし、吉岡も赤い顔になっていた。一人斎藤だけ正気だったから、アルコールには強いのだろう。

「内田さん、タクシー拾いましょう」

「どこに行くのですか?」

「心配ですか?」

「いえ、そうは言いませんが・・・この時間なので帰りたいと思ったものですから」

「では、ご自宅まで送ります」

「そんなことして戴きたいから言ったのではありません」

「わかっていますよ。車で30分はかかります。その間だけでも二人の時間だと思うと嬉しいです」

「斉藤さん・・・困ります」

「迷惑ですか?」

「違うんです。今の私にはその優しさが困ると言ったんです」

「優しくなんかないですよ。悪いことを考えている私なのかも知れないですからね」

「酔っておられるのですか?」

「少しですけど、内田さんほどではありませんから、安心してください」

「私は洋子の母親です。優華ちゃんにもおば様って呼ばれているんですよ。佳樹さんはどう考えておられるのでしょうか?」

「優華が言っていました。内田さんが新しいお母さんになるのだったら、お父さんの再婚には反対しないって。他の女性ではダメだと言うんですよ」

「それは、洋子と仲良くなっているという意味で言ったのでしょう。本当にそう考えているとは思えません。まだお母さま亡くなられて一年でしょう?」