小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

俺はキス魔のキッシンジャーですが、何か?【第二章・第一話】

INDEX|5ページ/5ページ|

前のページ
 

「別に尊敬語じゃないし。」
「細かいことはいいのよ。アタシは腐ってなんかないわ。」
「そんな出で立ちでは、説得力のかけら、いやチリすらないわ。」
楡浬は胸にBL本を10冊抱え、スカートのポケットにBLのBlu-rayを差し込み、腐という一文字が書かれたバンダナを巻き、さらにはツインテールのリボンの端を結んでアルファベットのBとLをかたどっている。カーディガンの下のシャツにはディープキスしている男子たちが堂々と描かれている。ただの腐女子カテゴリーを超越している。
「これのどこが腐ってるっていうのよ。できたてホヤホヤのホヤの塩辛じゃない。あったかごはんにもってこいなのよ。男子同士で、ホヤの塩辛あ~んとか、萌えるわよ。」
まだ腐っていないと思っている時は、すでに腐女子インフルエンザは潜伏期間を超えて発症している。発熱に自覚がないほどの感染力。これが腐女子インフルの恐ろしさである。
「これはマズい。かなり症状が悪化しているな。楡浬早く家に戻れ。」
「わかってるわ。でもこれだけは伝えておかないと。地獄の入口は、そこに倒れてる妹の膿のバイト先のコンビニよ。そこの事務所の奥が地獄につながってるわ。」
「どうしてそんなことを知ってる?」
「アタシを誰だと思ってるの?」
「通りすがりの腐女子だろ。」
「バカ!そんなに誉められたらデレるじゃない。」
「ぽっ。誉めてないし、デレるな。」
「アタシも一緒に行くわよ。」
「それは無理だ。今のお前の様子からもわかるけど、決定的なのはこれだ。」
大悟は楡浬のほっぺたにキスをした。
「い、いきなりなにドヘンタイなことするのよ!」
「ほら、これが腐の位置だ。」
大悟は楡浬の唇に唇(カーソル)を動かした。
「甘くない。むしろ苦いわ。これが饅頭人のからだ?おかしいわ。」
「そう。腐女子化が明らかに進行している。家にいてもこれだけ状況が悪化している。今の腐ったお前をさらに腐らせるわけにはいかない。」
「腐る腐るってうるさいわね。わかったわ。早く行きなさいよ。そして生徒会長の一条華莉奈に会いなさいよ。きっといろいろわかるわ。男子が男子の背中に手を回して、好きだと書いて告白するとか、オイシイ話が聞けるわよ。」
「そんな話、聞きたくない、見たくもない。」
「華莉奈はコンビニオーナーでもあって、地獄の行き帰を管理しているわ。男子同士のからだの行き帰はもっとわかってるかも。」
「わからんでいい!とにかく行ってくるぞ。オレに任せろ。でもひとりじゃ魔法が使えない。魔法使いがいるんだけど。」
《まる、宇佐鬼大悟について行く。だんまり。》
騙流が大悟の胸にダイブ。大悟は条件反射的にいきなりお姫様抱っこ。
『ゴゴゴ、ゴゴゴ、ゴゴゴ~。』
騙流ダイブを見て倒れていた桃羅と衣好花が起き上がる。楡浬も一緒に夜の闇よりも真っ黒な気迫オーラが得溢れている。騙流は一触即発な空気の中で、ダルマ会話を継続した。
《これで魔法使ってみる。だんまり。》
いつもの楡浬大悟とはまったく違う体勢ながら、おんぶズマンスイッチが入り、騙流のからだが光っている。
「どうしてスイッチが入ったんだ?」
《背中を良く見る。》
「ダルマがスイッチを押している!?」
《まる、抱っこで魔力が上がっている。だから背中を押せる。だんまり。》
「たしかに楡浬の格安貧乳と同レベルで適度な感触だ。」
「どこの誰のが格安よ。チケット屋で安売りなんかしてないんだからねっ。」
「楡浬スイッチと同レベルなのか。それじゃあ、魔力は対して向上していないぞ。」
《そういうことになる。だんまり。》
「先が思いやられるなあ。胃薬を持って行こう。」
呑気を演出して不安な気持ちを抑える大悟であった。