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新・覇王伝__蒼剣の舞い2【第1話】

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          ※※※※※※※※※※
 清雅の左耳を挟むように、黄金の飾りが光っていた。
 清雅に、装飾品を身につける趣味はない。ただでさえ、切るのが面倒だからと髪を伸ばし放題にしている男である。
 いつからそこにあるのか、彼自身理解らない。記憶では10歳の時には既に、あった。 「これがどうしたと…」
 「いえ、不意に気になったものですから」
 「しょうがねぇだろ。俺には外せられないんだぜ」
 「外せられない?」
 「耳、ぶった斬れば別だが」
 狼靖と一緒にいた少年の顔が、すぅと青ざめていく。
 「ちょっと、セイちゃん。タクちゃんには冗談きついって」
 「玄武の息子が、血怖いってか?」
 やりかねない勢いに、さすがの焔も笑顔を引きつらせる。
 拓海の四獣聖の印象は、ここに来て崩れ去った。
 四獣聖と云えば、覇王を守り、常に先陣を行く四国最強の剣士で組織された覇王の精鋭である。前覇王の死と、覇王家であるウォン家崩壊により解散状態にある。
 拓海がそんな四獣聖に憧れ、剣を習い始めたのは十四の時。そもそも、父親の狼靖が元四獣聖だったのと、四国随一と云われる精鋭・四獣聖になる事は剣をもつ者には栄誉な事であった。
 覇王の為に盾となり、剣一本で主に尽くす。幼い頃から、狼靖の口癖はそれだった。
 勿論たった四年で、四獣聖になれる腕になるわけもなく、拓海にとって四獣聖はまだまだ遠い存在であり、尊敬と憧れの存在であった。
 それなのに、だ。
 「父上っ」
 「何だ、拓海。いきなり」
 「あの男(ひと)、本当は何者なんです?」
 「もしかして、清雅さまの事か?」
 「他に誰がいます?どう見たって変です。絶対にっ」
 「お前とは従兄弟だが」
 「そう云う意味じゃありません。清雅さまが強いのは理解りました。ただ、口は悪いわ、態度は大きいわ、四獣聖だなんてどう考えても見えないでしょう。普通。しかも、この国の国主だなんて」
 「俺に云うな」
 「父上が、清雅さまを王にしたと白虎さまから伺いました」
 「この国には、王が必要だった。清雅さまは前覇王陛下の血筋であり、それは俺が保証する。妹は、身分が低いと覇王家に入らなかったが、覇王陛下は生まれた清雅さまに四獣聖・蒼龍の証である龍王剣を下賜された。それに恥じぬ腕前になられたし、誰も文句は言わなかったぞ」