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過ぎゆく日々

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愛おしい日々


 今日も過ぎていく何気ない日常。
 それを当たり前と思い、多くの人は暮らしている。あるいは、その日その日の慌ただしさに追われ、漫然と時が過ぎていく。
 
 でもいつか、そんな時間がピタッと止まる時がやって来る、かもしれない。
 先日トルコで起きた大地震。地震大国である日本に住む者にとって、とても他人事では済まない。
 明日はわが身、どころか、今日今この時にでも、同じことが起こりうるのだ。
 
 今回も、世界各国から救援の手が差し伸べられ、わが日本からも救助隊が駆けつけている。加えて医療関係の支援も行われている。
 混乱した状況下での人道支援、さぞ困難を要することだろう。尊い使命を果たし、無事に帰国されることを祈る。
 しかし、それらにも当然ながら限界がある。
 そして、被災した人たちは筆舌に尽くしがたい過酷な状況に置かれ、これから長く険しい復興の道のりが延々と続く。
 
 自然災害は人の力ではどうすることも出来ない。どんな対策を取っても、完全に逃れることなど出来ようはずがない。結局、なるがままに受け入れることになる。
 たとえそうであっても、いやそうだからこそ、平穏な今を大切にしなくてはもったいない。
 
 朝目覚めると暖かい布団の中
 清潔な店内に豊富な食材が並ぶスーパー
 公園で遊ぶ子どもたちの歓声
 一日の疲れを癒やす温かい湯船
 
 どれもこれも、永遠に続くことではなく、今この時のことにすぎないのではないか。
 だとすれば、いつか、そんな日々をたまらなく懐かしむ時がやってくるかもしれない。
 
 人生、すべてが一期一会。
 人とのふれあい、そして今日この日この時を大切に。
 
 
               2023.2.20

作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖