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過ぎゆく日々

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天 才


「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」
 
という名言があるが、ひらめきというより素質とも言えるのではないだろうか。
 その天才という言葉に最も近い二人の若者が、今この時代を席巻している。
 
 大谷翔平と藤井聡太――
 
 いつやって来るかわからない地震や洪水といった自然災害、いつ隣の国が攻め込んでくるかわからない戦争などといった混沌とした世の中で、この二人の活躍は人々に明るい心を取り戻させてくれている。
 
 野球を知らなくても、大谷選手がホームランを打てば気持ちが高揚するし、将棋を指せなくても、藤井七冠が勝利したというニュースは期待に胸が膨らむだろう。
 漫画の主人公のような存在が現実世界に飛び出してきたようなものだから、当然といえば当然。この時代に生で二人の活躍を目の当たりに出来る私たちは、この上なくラッキーなのかもしれない。
 
 二人の共通点といえば、幼い頃から夢を抱き、それに向けてまっしぐらの道を歩んできたこと。
 頂点を極めるという目標があるため、目先のことで一喜一憂しないこと。
 負けず嫌いなこと。
 努力を惜しまないこと。
 そして何より、野球、将棋がそれぞれ大好きなこと。
 
 そんなことが想像される。
 一方、大谷選手のあの体格なくしては今の栄光はつかめなかったかもしれないし、藤井七冠の頭脳なくしては今の栄冠は手にできなかったかもしれない。そういう意味では親や神のおかげだろう。
 でも、何より根本は好きであるということ、それに勝るものはないに違いない。誰に勧められたわけでもなく、環境からのプレッシャーもない、ただ純粋に好きで取り組んできた。だから辛いことも乗り越え、苦ということはないのかもしれない。
 まさに、究極の
 
「好きこそものの上手なれ」


                  2023.6.15


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖