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過ぎゆく日々

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ことば


 言論の自由が保証され、私たちは自分の意見を述べることができる。
 でも、実際にはモラルや常識という枠に囲まれ、本音を語れるのは家族や気を許せる仲間内ということになる。
 それを忘れて、公の場でそれなりの立場の人が思ったことをそのまま発言したことによって大騒動になることがままある。失言だ。あるいは、友人相手でも、知らずに相手を傷つけていることもあるかもしれない。言葉とは難しいものだ。
 
 子どもの頃は、まだ差別用語が普通に使われていた。昔の映画やドラマなど、今では注意書きが添えられて放映されていたりする。喫煙場面なども頻繁に登場し、現在との違いには驚くほどだ。
 ことわざなども、聞きようによっては心に引っかかるものがある。たとえば
「百聞は一見にしかず」
 目の不自由な人はどんな思いがするだろう。でも、そんなことを言っていては、何も話せなくなってしまう。
 
 また、SNSなど顔を見せずに発信する言葉が過激になるのは、周知の通りだ。あるいは、普通の会話の中でも、言っている方はそんなつもりはなくても、過剰に反応して傷つく人もいることだろう。
 
 人だけが使える言葉と文字、有り難みとともに、その使い方の難しさを改めて思う。
「ペンは剣よりも強し」
 人をいたわり、励まし合えるような言葉を心がけたい。


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖