過ぎゆく日々
岐路
人は誰でも人生の分かれ目に何度か立たされる。それが公にさらされる「ドラフト」
今年もまた、若者がその歩き出す道を決められた。
指名された者――決まった球団はどこか、されなかった者――プロの道を断念するか。
昔は人気球団を希望する傾向があり、指名された球団を拒む、果ては「空白の一日」などという騒ぎになったこともあった。
当時、テレビでは特定のチームの試合ばかりが放映され、球場も人気のないカードは閑古鳥だったから無理もない。
現在は各球団が多くのファンを抱え、若い女性たちの観戦も増えるなどすっかり様変わりした。大リーグのボールパークとまではいかないが、球場側も趣向を凝らし、昔のようなただの野球場ではなくなってきている。
そして、若手選手の育成にも力が入れられ、先々大リーグへの道も夢ではない。だから、どの球団に指名されても暗い表情はなく、プロ野球界に夢を抱いて飛び込む若者の姿は、見ている方も気持ちがいい。
どの世界でも最初はみな新人。来春にはまた、多くの若者たちがそれぞれのスタート地点に立つ。
そして、その道は遠く長い。
2021.10.19