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過ぎゆく日々

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デジタル依存


 目覚めてまず見る、デジタル時計。時間の確認だけでなく、温度や湿度の情報も。
 入浴中にはリモコンの時計が活躍。いつしか浴槽につかる時間の目安になっている。
 体温計も水銀の針を読むタイプから、デジタル表示が主流に。それもおでこにピッとかざすだけ。
 
 数字に左右されるという点では、消費期限。今やほとんどの食料品に明示されている。なので食品を手に取ると、自然と消費期限を確認するのが習慣に。買う時も食べる時も。
 色を確かめたり、匂いを嗅いだりして判断した昔を思えば、安心だし便利になったと思うが、神経質になりすぎている感もある。
 
 試験もマークシートが増え、デジタル機器が日常生活にすっかり溶け込んでいる今日、手書きの文字など書くことはめっきり減った。もう漢字など読めても書けなくなりつつある。
 便利で合理的、確かに効率はぐんとよくなったが、人間が本来持っている動物的な感覚が失われていくようで。
 
 快適すぎる室温、清潔すぎる空間。平和な日々の中では何の問題もないが、不測の事態が起きて文化的な暮らしができなくなった時、その落差に耐えられるだろうか。
 幼い頃の不便で不衛生な環境を思い浮かべると、今さらあんな生活――とても難しい気がする。
 
 そう思うと、今の、そしてこれからの子どもたちが心配になる。でも、子どもには環境に順応する能力がある。何かがあった時、ついていけないのは大人の方かもしれない。
 アナログ人間のつもりの高齢世代でも、どこか今の便利さに慣れてしまい、たやすく昔には戻れない。
 となれば、あとはただただ、何事も起こらないことを祈るのみだろう。


                   2022.3.7



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 災害は自然の領域で、人間などの手には負えない。
 しかし、戦争は人類が自ら行うもの、防ぐことはできるはずだ。
 だが、古代から争いは綿々と続いている。
 そう、現在も――
 誰もが平和を望めば、戦争など起こらない。
 今こそ、すべての人が平和を望む世界に、と強く思う。


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖