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過ぎゆく日々

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断捨離


 断捨離、シンプルライフがいいのはわかっている。常に頭のどこかにあるのだが、これが案外、いやかなり難しい。
 
 家にあるもの、それは勝手にやって来た物ではない。選んで買ったり、有り難くいただいた物。それがいつしか溜まり溜まってやっかいな存在になるとは。
 クローゼットや納戸などの収納スペースが豊富ならいいかというとそうでもない。取りあえず入れておこう、それがくせ者なのだ。そこに収まりきれなくなった物がやがて外へと滲出してくる。そしてそうなると、当然クローゼットの中は大変な事態になっている。
 
 今、使わずに支障のないものはいらない物も同然。だけど、いざ処分しようと思って手に取ると、いや、いつか使うかもしれない、そんな誘惑に負けてしまいがち。いつかなんておそらく来ないのに。
 そうこうしているうちにいつしか不要品に埋もれ、それらに振り回されることになる。
 
 やがて自分たちがいなくなったら、まちがいなくそれらはただのやっかいなゴミ。残された者の手を煩わすだけの存在だ。だから元気なうちに何とかしなければと思うのだが。
 
 もったいない精神は大切だが、あまり物に執着するのも不合理だ。限られた住宅事情の中でそのスペースを無駄にしているのだから。かといって処分するとなると分別が大変だし多くの労力だってかかる。今は買うより捨てる方が大変な時代。家の中の見たくない部分から目をそらす日々、年月がまだまだ続きそうだ。



                2022.11.20


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖