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過ぎゆく日々

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終の棲家


 人生、最後に暮らす場所。
 戸建てかマンションか――
 持ち家か賃貸か――
 子世帯と同居か別居か
 
 経済的に裕福で、家族に恵まれ、健康であれば、選択肢も多く楽しい選択だろう。しかし、多くの場合現実は厳しい。
 年金生活は苦しく、貯金を取り崩していく中、住まいにお金はかけられない人は多いに違いない。
 また、子ども世代と老後からの同居となると、ハードルは高い。受け入れられたとしても世話になる分肩身が狭く、きっと快適というわけにはいかないだろう。
 そして、健康状態によっては病室が終の棲家なんてことにもなりかねない。
 
 人生なんて、先のことは誰にもわからない。所詮いいことばかり望むのは無理というもの。
 そして、希望は人それぞれ千差万別。その上、その時々で変化する。
 現状に不満を抱きながらも、後々あの頃は良かった――そう思う時が来るだろう。自分では気づかぬうちに歳をとっているものだから。
 でも、いつだって今が一番若い。それも間違いない。明日はまたひとつ歳をとる。
 そうしているうちに、絶対避けたい、近しい人たちとの別れにも遭遇する。悔いのないようできるうちに、顔を見て、話をし、いい思い出を作っておきたいものだ。
 
 そして、自分の番が来るまでは、家族に迷惑をかけない程度のわがままで、自宅で生を全うしたい。



              2024.6.13



作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖