過ぎゆく日々
横 綱
相撲には全く興味がなかった。テレビがかかっていても、桟敷席の観客を眺めたり、懸賞の数を数えたりしていた。
それがある時、ざんばら髪の力士に目が止まった。
強い。
髪が伸びるより早く出世し、ちょんまげ大関になった。
初土俵以来、負け越しがないという気持ちの良い戦績に、彼の取り組みが楽しみになった。
もちろん、マスコミが放って置くはずもなく、彼の生い立ちや人となりを報道した。中学生から自ら望んで親元を離れ、相撲漬けの日々。相撲が大好きで強くなりたい一心。そしていつも笑顔で辛いと言わない。
すでに心技体を備え、なるべくして横綱になった、そう感じた。
天から与えられた素質に加え、ポジティブに取り組む姿勢、周囲を気遣う心が、世界は違えど、大谷選手と重なる部分があるようにも思える。加えて将棋の藤井七冠。これらの若き天才たちの出現は、世の中に明るい話題を提供してくれる。
若くして最高位についた大の里関。超スピード出世であるが故に、これからの道のりはとても長い。さらに己を磨き、令和の大横綱になることを期待する。
2025.6.20