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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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LOVE BRAVE外伝 第5話

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 フィルはまず、自分の目の前に居たガイコツ兵に拳を突き出し、指輪のレッドスピネルからレーザービームを発射した。ビームをまともに浴びたガイコツ兵は即座にバラバラになり、動かなくなった。ヒューゴは二、三度軽くジャンプすると、空中移動(エアリアルウオーク)を発動した。そして、1体の兵士の周りを2、3周歩き回って混乱させ、左足でその兵士の左肩を踏み、続いて右足でその頭を踏んではずみをつけ、その後方に回った。兵士がヒューゴのほうを向いた瞬間、ヒューゴはネックレスのラピスラズリからレーザービームを放ってガイコツを葬った。

 ジミーは、右手の拳を開いた左手のひらに当てた。
「ビギナーコースだけど、ジムで鍛えてきた腕試しにちょうどいいや!」
 そして前方へ思いっきり走った…と思ったら、急停止した。
「いやいや、せっかく得た能力を使わなきゃもったいないよな」
 彼は顔の前で片手をスライドさせるように動かすと、
「インヴィジブル!」
 と言った。その瞬間、彼の体は服ごと透明化した。彼はニッと笑うと走り出し、とがった兜をかぶったガイコツ兵の姿を見ると、正面からその鼻に強めのストレートを一発お見舞いした。ガイコツ兵はふらついた。次にジミーはガイコツのあご下にアッパーをくらわせ、ダウンを取った。
「もう終わりかな?」
 ジミーが挑発すると、それに答えるかのように、ガイコツはむくっと起き上がった。
「やるんだ?」
 ジミーはそう言うと低い体勢を取り、鎧で守られていない骨にガトリング砲のような連続パンチを浴びせた。とうとうガイコツは彼の技に耐えられなくなり、上半身が後方に折れた。もう既に透明化が解除されたジミーは、ふうと一息つき、腕で額の汗を拭った。

 スティーブンはというと、もともと争い事を好まない性格に加え、母親から非暴力主義を説かれて育ったため、ガチ勝負をしたことがないのだ。そのため、先ほど「覚悟を決めた」と言ったものの、現実には手を上げて戦うことはできず、せめて攻撃を受けないようにひたすら逃げ回るだけだった。
 彼は走っている途中、バイキングがかぶりそうなツノ付き兜をかぶった1体のガイコツ兵とぶつかりそうになり、ビビって立ち止まってしまった。ガイコツ兵はスティーブンを見ながら、カトラス刀(湾曲した刃を持つ剣)をゆっくりと振り上げた。
「嫌だ、やめろ!」
 スティーブンは目を潤ませて言ったが、ガイコツはカトラス刀を振り下ろしてきた。スティーブンは下を向き、きつく目を閉じた。

 しかし、スティーブンに刃は当たらなかった。彼の危機を見たヒューゴが、ネックレスのラピスラズリから発するレーザービームでガイコツを倒したのだ。スティーブンが目を開くと、目の前に立っていたのはガイコツ兵ではなく、仲間のヒューゴだった。
「ありがとうございます、ヒューゴ兄さん!」
 彼はほほ笑んだが、すぐに真顔で言った。
「非暴力主義は立派だが、仲間と自分を守るためには手を上げなきゃいけないときもある。それをよく覚えとけ」
「あっ…、はい」
 スティーブンは素直にうなずいた。そのあと、現代で使われるヘルメットのような兜を着用し、槍を手にしているガイコツ兵を見つけた彼は、ガイコツの横まで移動し、ブレスレットのホワイトクオーツをそれに向けて、レーザービームを発射した。
 すると、ビームを浴びたガイコツ兵はスティーブンのほうを向くと、槍を捨てて兜を外し、胸の前まで持ってくると深く頭を下げた。
(……?)
 そして、こう話し出した。
「おまえたちに危害を加えようとした我を許せ。我は土に還ろう」
 そのあと、そのガイコツはバラバラになり、土と同化した。スティーブンは、意外な結果に、しばし立ち尽くした。
「何だろう、今のは」

 それから彼は、盾、槍、鎧で完全武装したガイコツ兵の前に立ち、視線を合わせて
「ピュリファイ!」
 と叫んだ。すると、そのガイコツ兵は盾と槍を地面に置き、自身も地面に腰を下ろすと、上半身をゆっくり左右に揺らして和みモードに入った。悪の感情を消されたのだ。そのあまりにシュールな姿に、スティーブンは思わず吹き出した。ほかのガイコツ兵にもこの能力を使うと、喰らったほうは武器を捨て、楽しげにスキップを始めた。

 物陰から彼らのバトルを見ていた作者は、極力小さな声でホシノさんに話した。
「実は、あのアクセサリーを身に着けると特殊能力を使えるだけでなく、戦闘能力も平常時の10倍になるんですよ」
「へえ、すごい。だから彼らはあんなに強いんですね」
「はい…」