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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第二十七話

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東京に居る夫から配達証明の封書が届いた。
中を開けてみると離婚届が入っていた。夫の欄には署名捺印がされている。
私に署名捺印して役所へ届けるようにとメモが入っていた。

夜になって電話を掛けた。
待っていたのだろうか、夫は直ぐに出た。

「突然送ってこられたのですね。びっくりしました」

「明日にでも出しておいてくれよ」

「まだ、何もお話しできていないのに届けだけ出すなんて出来ません」

「お前の不貞が原因だからな。本来なら出て行けというところだけど、今はそういうわけにもゆかないので、洋子が卒業するまでそこに居て構わない。いろんな引き落としはおれの名義になっているからそれも洋子がいる間は今のままでいいよ。いい条件だろう?」

「すぐに返事しろと言われても無理なので、しばらく考えさせてください」

「だったら弁護士に相談しろ。おれもその方が話しやすいからな」

「弁護士に?」

「そうだ。離婚の調停を頼め。費用は半分負担する。とにかく時間を引き延ばすことは嫌だから、お前が自分で条件を言えるなら、一度会って証文を交わすようにする」

「急がれる理由があるのですか?」

「理由?嫌なんだよ、浮気する女が妻だということが」

「何と言うことを・・・四人で遊びに行っただけと言いましたでしょう?」

「あくまで友達と言い張るのか?黙っていたけど、庭でキスしたのも友達の範囲なのか、お前には」

夫は知っていた。いや、あの部下という男性は私のことをずっと監視していたのだ。
何という失態。和仁と外に出たのが仇になってしまった。

「申し開きはしません。洋子が卒業して就職したら、私と二人で何処かアパートでも借りて暮らします。その時は自宅を処分して私のこれまでの妻としての財産分与を戴きます。それ以外はあなたの好きなようになさってください」

「なるほど。認めたな。まあいいや、これ以上は言うまい。ではその条件を証文にして書いてお互いに署名捺印して保管しよう。約束は守るから先に離婚届は出してくれ」

「いつ東京へ伺えばいいですか?」

「来なくていいよ。おれがそちらへ行く。離婚届を出し渋られると困るからな。それから、洋子はおれの子でもあるから結婚とかの時は知らせろよ」

「洋子は成人しているから、あの子の判断に任せます」

「うん?どういうことだ」

「あの子の自由にさせるということですよ」

「お前、まさか・・・」