社会に不適合な二人の
にわか通とか間違いとか、どちらも恥ずかしい
給料も入ったのでと言うことで、弟と二人で飲みに行ったときの話です。
食後のお茶を頼んだときに、弟が通し言葉のことで尋ねてきました。
お茶をあがりと言ったりする隠語のことです。
「そういやーさー。あがりとか、おあいそって、本当は客が言うものじゃないんだよねー。」
「そうだね。店員が店の奥に指示を通すのと客の注文が混じらないようにするためだから、客が言っちゃだめなはずなんだけどねー。」
「そうだよなー。」
「あー、丁度話も終わったし、じゃあ、もうそろそろ帰る?」
「帰るかー。」
そこに丁度店員さんが来たので呼び止めました。
「あ、店員さん。おあいそお願いします。あっ。」
「おい。」
「やっちゃった。」
「ダメなんだろ。ダメなんだろ。」
ニヤニヤしながら言ってくる弟に顔を真っ赤にして、うるさい、と言うのがそのときは精一杯でした。
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[通し言葉]…言っても良いけど、自己満足以外のなにものでもない。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮