社会に不適合な二人の
継母の記憶
継母とは十数年間程暮らしていたのですが、年数の割には記憶に残っていません。
それでも十数年、今まで書いたほかにもいくつかはあります。
中でも実母の記憶とセットで思い出すことがあります。
そのとき私は風呂に入っていました。
当時は毎回30分程度入浴をしていたのですが、お風呂に入っているうちに外からなにやら大きな声が聞こえます。
じっとして声に集中してみると、外で父と継母が怒鳴り合って喧嘩をしているのが分かりました。
そして、その声は台所の方から玄関の方と移っていきました。
当時私の部屋は玄関の直ぐ横に入り口があったので、部屋に戻ることも出来なくなったのです。
そして兄は他県の大学に通うため一人暮らしをしており、既に弟は祖母の家に住んでいたため、家には父と継母以外に私しか居ないのでした。
二人の声は次第に大きくなり、ついには継母が泣き出すのが聞こえてたのです。
「殴らないでよ!」
「殴ってない!」
「は!?殴ったじゃん!」
私はやりとりを聞きながら、風呂の中でじっとしていました。ただ、風呂の中で喧嘩が終わるのをずっと待っていました。
継母は結局そのまま家を出て行きましたが、数日後仲直りしたらしく戻ってきましたが、仲が悪かった継母の私への当たりが壊滅的に悪くなったのも、その後でした。
私は湯あたりをして、部屋で寝込むことになりました。とさ。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮