社会に不適合な二人の
家に戻れば 一人の敵がいる
私がバイトをしているのは地元の本屋です。私の県周りでチェーンを展開している本屋ですが、近場では唯一の本屋だったりするので、弟ももちろん本を買いに来ます。
「いらっしゃいませ。」
「……。」
「420円の本が2点で840円でございます。」
「……。」
「1000円お預かりします。」
「……。」
「160円のお返しです。」
「……。」
「お待たせいたしました。ありがとうございました。」
「……。」
お互いバイト先で知人と相対したときの微妙な空気が苦手なので、そこは暗黙の了解で二人とも何の関係もない風を装う習慣ができあがっています、バイト先では。
「ただいま。」
「接客が気持ち悪い。」
帰った後に色々言われます。
――
[420円の本]…現在の少年漫画単行本の税込み値段。ちょっと前は409円。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮