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社会に不適合な二人の

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兄対私対弟って、つまりは二対一


 私と弟は、よくケンカをしていました。
 兄ともよくケンカをしましたが、兄と弟は殆どケンカをしませんでした。
 年の近い兄弟はケンカをしますが、年が離れると仲が良いと言う話を聞きます。
 本当かどうかは分かりませんが、とにかく、私と兄は仲が悪かったのです。

 私と兄と弟は、小さい頃は一つの部屋で寝ていました。
 二段ベッドと敷き布団があり、上のベッドで兄が下のベッドで弟が寝て、私は床に布団を敷いて寝るという感じです。
 ある日の夜、兄は寝付けないのか歌を歌い始めました。
 何の歌だったかは憶えていません、上手ではありませんでしたが下手でもなかったです。
 しかし、日頃から兄に虐められていた私は少し嫌らしい感情憶えて、つい言ってしまいました。
「おんちー。」
 兄はあっという間にベッドと降りてくると、寝ている私に馬乗りになると、私が泣くまで殴り続けたのでした。

 今でも兄にうかつなことを言うのは怖くて、ろくに話もしません。
 他にも色々と虐められた結果として私は兄とは関わり合いたくありませんが、兄は憶えていないと思います。

 私と弟も何度もケンカをして、理不尽なことで弟を泣かせたことをいくつも憶えています。
 それでも今では普通に会話をしますし、仲は良い方だと感じています。
 そういう時に多少弟の度量の大きさを感じたり、私の恨み深さを感じたりするのです。

 そういえば、私は友達もあまりいませんが、弟は友達が多いようで、人間関係で言えば私だけが駄目人間のようです。

――――
[二段ベッド]…権力が強い人が上にいるという社会構造を思い知らせてくれる寝具。
[敷き布団]…落ちない揺れない安定性、柵のない開放感、不安を感じやすい人のお友達。

作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮