社会に不適合な二人の
すぐに影響される人々
子どものころは何にでも影響されやすく、幼稚園児ならヒーローや魔女の変身のまねをしたりします。
マンガが好きな子どもだと、一人称やしゃべり方を真似をすることがあります。
弟も、弟が小学校の頃にジャンプで連載していた封神演義に出てきた黄天化の口調に影響されて、
「俺っち」
と自分のことを読んでいた時期がありました。すぐにやめましたが、弟には黒歴史かもしれません。
私もマンガに出てきた格言を意味も分からずに使ったりして、恥ずかしい思いがあります。
成長すると共に無くなっていったのですが、真似をしていたら癖になってしまって今でも残っていることがあります。
アルバイトでホールスタッフをやっていた時に、鼻がむずむずしてくしゃみを催してしまいました。
「はっくしょん!」
私がくしゃみをすると、他のスタッフが笑いながらこちらを見てきます。
「なに?なにそれ?」
「初めて聞いたわ、はっくしょんってくしゃみする人。」
はっくしょんは、一般的な表現としてはっくしょんと記したのではなく、私は本当にハックションとくしゃみをするのです。
私は恥ずかしがりながらスタッフに笑って返しました。
子どもの頃にマンガなどで普通にハックションと描かれているのに、自分のくしゃみがくしゅんという感じなので、
「これは私が間違ってるんだ。」
と思い込んで、くしゃみをしそうになる度にはっくしょんとなるようにしていたら、ハックションというくしゃみが癖になったのでした。
咳はしない性質だったので、特に癖はありません。
――――
[封神演義]…藤崎竜先生著の同名小説の漫画化作品。殷周革命に神仙思想が加わった小説に、さらに現代ファンタジーが加わったような漫画。
[黄天化]…封神演義に出てくる道士。ライトセイバーとしか思えない武器を使う好青年。
[黒歴史]…黒く塗りつぶしたいような恥ずかしい記憶。元々はアニメ「∀ガンダム」の劇中で隠していた歴史を指した言葉から。
[はっくしょん]…最近は漫画でもこんなくしゃみをする人はあまりいない。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮